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不妊症・不育症について

登録日:2024年4月1日

誰にでも起こりうる不妊症や不育症をご存じですか?

 不妊症について

 不妊を心配したことがある夫婦は約4割にのぼり、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は4.4組に1組と言われています。
 また、生殖補助医療(体外受精等)で出生したこどもの割合は、11.6人に1人(2021年日本産婦人科学会まとめ)となっています。

1 不妊とは

 妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないことをいいます。

 (日本産科婦人科学会では「1年というのが一般的である」と定義しています)
 日本では、4.4組に1組が不妊の検査や治療を受けており、珍しいことではありません。
 2人目が授からない「2人目不妊」に悩む夫婦もいます。

2 原因

 不妊の原因は、女性だけにあるわけではありません。WHO(世界保健機関)によれば、約半数は男性に原因があるとされており、また検査をしても原因がわからないこともあります。

     

女性の原因
  • 排卵障害:排卵に関係するホルモン分泌などにトラブルがあり、卵子が育ちにくい、排卵が起こりにくいなどの場合
         のこと
  • 卵管障害:卵子や精子、受精卵の通り道である卵管がふさがり、精子が卵子にたどり着けないなどの場合のこと
  • 着床障害:子宮内に筋腫などの問題があったり、子宮の働きに問題があるために受精卵が着床できない場合のこと
  • 子宮頸管の通過障害:頸管や頸管粘液分泌に問題があって、精子が頸管を通って子宮に入れない等の場合のこと

      女性の不妊の原因

男性の原因
  • 構造機能障害:精子の数が少ない、またはない、奇形が多かったり動きが悪いなど、精子がうまく造られない場合のこと
  • 性機能障害:勃起や射精がうまくできない、性交渉がうまくできない場合のこと
  • 精管通過障害:精管(精子の通り道)が狭かったり、詰まったりして精子がうまく通れず、外に出られない場合のこと

男性不妊の原因  男性不妊の原因グラフ

男女両方に起こりうる原因
  • 性行為障害:男性の場合は、性機能障害があるなど。女性の場合は、性交痛があるなど。
  • その他:ストレスが強い、過労、喫煙、過度な飲酒など

 

 ※不妊症セルフチェックシート  女性(PDF/113KB)   男性(PDF/116KB)

 

生殖補助医療における妊娠・出産・流産率

 年齢とともに妊娠率は徐々に低下し、30代後半ごろから急激に下がります。
 不妊症セルフチェックシートで当てはまることがある、女性は年齢が高めという場合には、不妊症の検査や治療には時間がかかるため、早めに病院へ受診することをお勧めします。
 また、妊活をしていてもなかなか授からないなど、不妊症に悩んだ時には、不妊専門相談や妊活相談のご利用をお勧めします。

3 検査について

 検査によって不妊症の原因を探ります。問診など基礎的な検査の他、必要に応じて追加で検査が行われます。
 女性の場合は、月経周期に沿って行われるため、一通りの検査が終わるまでに時間がかかります。

 ※福島県では、不妊症の検査に要した費用に対し助成しています。

女性の主な基礎検査
ホルモン検査

血液や尿を採取して、妊娠に重要な役割を果たすホルモンが正常に分泌されているかを調べます。

月経周期にあわせて検査をします。

超音波検査 子宮や卵巣に異常がないかを調べます。排卵日がいつか、排卵が正常に起こっているかもわかります。
子宮卵管造影検査 子宮の形はどうか、卵管が狭くなって(詰まって)いないかを調べます。
多少痛みがある場合もあります。
頸管粘液検査 精子が子宮に入るのを助ける粘液が正常に分泌されているかを調べます。排卵日の特定にも用いられます。
抗精子抗体検査 血液を採取し、免疫反応によって精子を異物としてブロックする抗体がないか調べます。
男性の主な検査
超音波検査 精巣の大きさ、病気の有無、精索静脈瘤の評価などを行います。
精液検査 精子を採取し、精子の数や運動率などを調べます。
ホルモン検査 血液を採取し、精子を作るホルモンや男性ホルモンの量などを調べます。
染色体検査 血液を採取し、染色体に異常がないか調べます。

 

4 治療について

 検査によって不妊の原因が分かった場合は、原因に応じて薬による治療や手術を行います。しかし、検査をしても原因が分からないことも少なくありません。原因がはっきりしなくても、妊娠を目指して治療を行うこともあります。

 不妊治療には、主に一般不妊治療といわれる「タイミング療法」「人工授精」と生殖補助医療といわれる「体外受精」「顕微授精」があります。
 また、男性不妊治療の1つに、精子を精巣または精巣上体から採取するための手術を行い、その後採取した精子で生殖補助医療を実施するものもあります。

 治療方法は、個々の検査結果などによって主治医が決めます。

タイミング法

 基礎体温表や超音波検査などによって排卵日をより正確に特定し、夫婦生活のタイミングをはかる方法。
 排卵がなかなか起きない場合は、排卵誘発剤を使用することもあります。

 

人工授精

 排卵のタイミングに合わせて、事前に採取していた精子を子宮内に直接注入することで卵子と出会う確率を高める治療法。

              人工授精

 

生殖補助医療(体外受精・顕微授精)

 女性の体から採取(採卵)した卵子と男性から採取した精子を体外で受精させ、その受精卵(胚)を子宮に戻す(移植)する治療方法。

 体外受精と顕微授精の方法があります。

 ※福島県では、保険が適応しない治療費(先進医療を含む)に対し助成を行っています。

 

<体外受精>

 卵子と精子を体外に取り出し、それらを培養液の中で出会わせること(媒精)によって受精の手伝いをする治療。

                                 体外受精

<顕微授精>

 卵子と精子を体外に取り出し、細いガラス針の先端に1個の精子を入れて卵子に顕微鏡で確認しながら直接注入する治療方法。

                      顕微授精

 

精巣内精子採取術・顕微鏡下精巣内精子採取術(男性不妊治療)

 様々な方法を試みても精液中から精子を回収することができない場合に行います。これらの方法で採取した精子は生殖補助医療(顕微授精法)で卵子と受精する治療を行います。

 

<精巣内精子採取術:TESE>

 精巣を少し切開し精子を採取する方法です。
 (精子の通り道の閉塞による無精子症に対し行われる手術)

 

<顕微鏡下精巣内精子採取術:Micro-TESE>

 精子を作る機能が障害されている場合などは、精巣を半分に割って精巣内ほぼ全体を顕微鏡で観察して精子がありそうな場所を見つけ精子を採取する方法です。

 

不育症について

 不育症で悩んでいると言われている夫婦は、24人に1人と言われています。
 原因は様々ですが、検査と治療によって85%もの不育症患者が出産にたどりつくことがわかっています。

1 不育症とは

 2回以上の流産(妊娠22週未満)・死産(妊娠22週以降)の既往がある場合、不育症と診断されます。異所性妊娠や絨毛性疾患(胞状奇胎)、生化学的妊娠は、流産回数に含めません。すでに出産して子供がいる女性でも、その後に2回以上の流産・死産があれば不育症に含まれます。

 ※生化学妊娠とは、月経が来ない段階で血液検査や尿検査を実施しhCG分泌を確認したけれど、その後、超音波で胎嚢が確認できない状態をいいます。

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2 不育症のリスク因子

 子宮の形が通常と異なる子宮形態異常が7.9%、甲状腺の異常(機能亢進症もしくは機能低下症)が9.5%、両親のどちらかの染色体異常が3.7%、抗リン脂質抗体陽性が8.7%、凝固因子異常として第XII因子欠乏症が7.6%、プロテインS欠乏症が4.3%あります。

         不育症のリスク因子

3 検査について

超音波検査・子宮卵管造影・子宮鏡検査 子宮や卵管などに異常(奇形)がないか調べます。
ホルモン検査 血液を採取し、妊娠に重要なホルモンの働きや甲状腺機能などのホルモンの量が正常に分泌されているか調べます。
染色体検査 血液などから、染色体の検査を行います。
血液線溶凝固因子 血液を採取し、プロテインC、S活性検査、第XII、XIII因子などの凝固因子を調べます。
自己抗体検査 血液を採取し、抗リン脂質抗体、抗核抗体などの自己抗体の状態を調べます。

 

4 治療について

 不育症検査によって見つかったリスク要因に対し治療を行います。

<主なもの>

抗リン脂質抗体症候群 対症療法として、アスピリン・ヘパリン併用療法により血栓を予防する治療を行います。
子宮形態異常 中隔子宮や子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内ポリーブは、病状によって手術を行います。
夫婦染色体異常・胎児染色体異常反復 受精卵の染色体検査などの着床前検査や遺伝カウンセリングを行います。
血液凝固異常 異常の内容により、ヘパリン療法が必要になることがあります。
内分泌代謝異常 甲状腺機能異常や糖尿病など、原因に対する内科的治療が行われます。

 

その他の情報

不妊症に関すること

  秋田大学大学院医学系研究科の寺田教授、前田准教授が、若いご夫婦に早い段階で妊活に関しを持ち、
 また少しでも「妊娠しにくいな」と感じたら、不妊症の早期検査や治療を呼びかける動画を作成された
 ものです。(約2分) 

  不妊症は珍しいことなのでしょうか? 5.5組に1組のカップルが何らかの不妊治療や検査を受けています。
  (2015年調査結果より)
  子どもを持ちたいと思う人が安心して検査や治療を受けられるよう、正しい理解と偏見をなくしていくこ
 とが大切です。【字幕付】

  • マナミとタクヤのなるほど!不妊症のこと(厚生労働省 令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業により作成)

  医師監修のもと、不妊症・不育症、不妊治療についてわかりやすく説明した漫画です。
  

   第1話「知らなかった!妊娠・出産・不妊症のこと」 漫画(PDF/7MB)  動画
   第2話「そうだったの?妊娠の仕組み」       漫画(PDF/7MB)  動画
   第3話「不妊治療って大変だ」           漫画(PDF/7MB)  動画
   第4話「不妊治療経験者と話そう」         漫画(PDF/7MB)
   第5話「不妊症にやさしい社会って?」       漫画(PDF/7MB)

 不妊症に関する基礎知識がまとめられたサイトです。

 

不妊症、不育症に関すること

  不妊症や不育症の基礎知識、相談先や生殖補助医療が受けられる医療機関(治療実績も掲載)などの情報がまとめられています。

  「生殖医療Q&A」として、不妊症や不育症に関する一般的なよくある質問をまとめられたものです。

  「あしたのママへ」は赤ちゃんに笑顔で会える日がくるよう応援するため、不妊症・流産・不育症について原因、
 検査、治療方法などを紹介さているサイトです。

  国の政策がまとめられているサイトです。

 

不育症に関すること
  • Fuiku-Labo 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構委託事業(終了)

  不育症の原因解明、予防治療に関する情報などが発信されているサイトです。

 

このページに関するお問い合わせ先

こどもみらい部 こども家庭課

電話番号: 0246-27-8563 ファクス: 0246-27-8564

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