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賃貸住宅の「原状回復」トラブルに注意

登録日:2023年2月27日

住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えましょう!

全国の消費生活センターには、賃貸住宅に関するさまざまな相談が寄せられていますが、その中で、退去時の「原状回復」に関する相談が多くみられます。

賃貸借契約は長期間にわたることも多く、賃貸住宅のキズや汚れ等を借主と貸主のどちらが修繕しなければならないのか、はっきりせずトラブルになることがあります。

そこで、賃貸借契約における「原状回復」とは何か、トラブルを防ぐにはどうしたらよいかなどをまとめ、市民の皆さんに注意喚起します。02

相談事例

  • 敷金礼金不要のアパートを退去したら、契約書の記載と異なるエアコン清掃代や入居前からあったフローリングのキズの修繕費用まで請求された

  • アパートを退去した際、自分では通常損耗だと思う箇所の修繕費用や、契約書に記載のない費用を請求され納得できない

  • 20年以上住んだマンションを退去した際、入居時から付いていたキズについて「最近付いたものだ」として修繕費用を請求された

  • 敷金礼金不要のアパートを退去した際にシャワーヘッドの交換費用を請求され、入居時から不具合があったと伝えたが証拠がないと言われた

「原状回復」においてトラブルになりやすいポイント

「原状回復」とは

賃貸借契約の「原状回復」とは、借主の故意・過失によって賃貸住宅に生じたキズや汚れ(損傷)等や、借主が通常の使用方法とはいえないような使い方をしたことで生じた損傷などを元に戻すことをいいます。

賃貸借契約が終了した時、借主は、賃貸住宅の原状回復を行う義務を負いますが、借主の責任によるものではない損傷等や、普通に使っていて生じた損耗(通常損耗)、年月の経過による損耗・毀損(きそん)(経年変化)については、原状回復を行う義務はありません。

原状回復と敷金

「敷金」は、借主の賃料滞納や原状回復費用など、契約期間内に発生する費用に充てるため、前もって貸主に渡すお金のことで、通常、原状回復にかかる費用はこの「敷金」から差し引かれます。
賃料滞納がなく原状回復の必要もなければ、全額が借主に返還されます(これと似たものに「礼金」がありますが、礼金は貸主にお礼の意味で支払うものとされ、通常は返還されません)。なお、敷金の一部が返還されない特約(敷引特約)が定められている場合もあります。

最近では、敷金や礼金などの初期費用のない、いわゆる「ゼロゼロ物件」というものもありますが、こうした賃貸住宅は、借主にとって、高額になりがちな初期費用を抑えられるメリットがある反面、退去時には原状回復費用がそのまま請求されるため、まとまった額の支払いが必要となる可能性があります。

原状回復に関するトラブルの特徴と問題点

賃貸借契約は長期間にわたることが多く、原状回復が問題となる退去時は、契約締結時から相当の時間が経過しています。
そのため、入居時の状況がわかるような記録が残っていないと、問題となっている損傷等が通常損耗や経年変化にあたるかどうか、客観的な判断が難しいことがあります。

原状回復に関するトラブルの多くは、退去時に貸主側(大家や管理業者等を含む)から提示された修繕の範囲や金額について、借主が納得できないときに起きるものです。
原状回復に関する借主と貸主の費用分担は、契約内容や賃貸住宅の状況などによって異なるため、トラブルになりやすいという特徴があります。

消費者へのアドバイス

賃貸借契約をする前に、貸主側から説明される契約内容をよく聞き、わからないことがあればすぐに確認するなど、内容をよく理解した上で契約するようにしましょう

賃貸住宅の契約時に、貸主側から契約書類が交付されますが、契約した後に借主に不利な条件を見つけても、条件の変更は難しいことが多いため、契約前に書類の内容をよく確認することが大切です。01

国土交通省が示している「賃貸住宅標
準契約書」や、原状回復費用負担について一定の基準を示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と契約書類を比較して、違っている箇所はよく読んでおきましょう。

特に、禁止事項や修繕、退去時の費用負担に関する事項のほか、「ハウスクリーニング費用は全額借主負担」といったガイドラインと異なる内容が特約で定められている場合がありますので、必ず確認しておきましょう。

入居する時は、できる限り貸主側と一緒に、賃貸住宅のキズや汚れ、備え付けの設備(エアコンなど)がきちんと動作するかなどについて、写真を撮ったりメモを取るなど、住宅の現在の状況をしっかり確認しましょう

賃貸借契約は、長期間にわたることも多く、記憶があいまいになってしまいますので、入居する時から記録を残しておくことが大切です。

貸主側がチェックシートを用意している場合は、項目をしっかり確認しながら記入し、大切に保管しましょう。ガイドラインの中にも、チェックシートのひな形が公開されています。

入居中にトラブルが起きたら、すぐに貸主側に相談しましょう

賃貸住宅の使用のために必要な修繕は、原則として貸主に修繕の義務があり、貸主側に無断で修繕を行うと、退去時の精算の際にトラブルになる可能性があります。

窓際の結露を放置してカビなどを生じさせてしまうと、退去時に清掃費用を請求される可能性があるため、貸主側に状況を報告した上で、適切な管理が必要です。

賃貸住宅は「借りているもの」であることを意識し、日頃からきれいに使うことを心がけましょう。
また、契約書類を改めて見直すなど、退去時に請求される可能性がある費用などを確認しておきましょう。

退去時には、精算内容をよく確認し、納得できない点は貸主側に説明を求めましょう

退去時も入居時と同様に、できる限り貸主側と一緒に、写真を撮ったりメモを取ったりして記録を残すなど、賃貸住宅の現状を確認しましょう。

貸主側による精算の結果、納得できない費用を請求された場合は、ガイドラインを参考に貸主側に説明を求め、費用負担について話し合いましょう。

原則として、年月の経過による損耗や普通の使い方でも発生してしまう汚れやキズなどの修繕費用は、借主が負担する必要はないと考えられます。

契約時に敷金を支払っている場合、退去時に返還されますが、未払いの家賃があったり原状回復費用がかかる場合には、敷金から差し引かれます。

一方、契約時に敷金がない場合は、原状回復費用を差し引くことができないため、退去時に支払う費用が高額になる可能性がありますので、注意が必要です。

不安に思ったりトラブルになった場合は、消費生活センターに相談しましょう

  • いわき市消費生活センター
    0246-22-0999(相談専用)
  • 消費者ホットライン
    188(いやや)
    消費者ホットライン「188」は、最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センターをご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

消費生活相談について

当センターでは、問題解決のために、トラブルの状況や経過などの必要な情報を詳しくお伺いします。このため、メール(市ホームページの「お問い合わせフォーム」を含む)での相談は受け付けておりません。電話若しくは来所での相談をお願いします。
メールでご相談いただいた場合は、詳しく内容を確認するために、相談専用電話へのご連絡をお願いする旨のメールを返信いたしますので、ご了承ください。 詳しくは、関連リンク「消費生活相談のご案内」をご覧ください。    

このページに関するお問い合わせ先

消費生活センター

電話番号: 0246-22-0999【相談専用】 0246-22-7021(事務直通) ファクス: 0246-22-0985

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