『久之浜字東町』(令和2年11月11日市公式SNS投稿)
登録日:2020年11月11日
いわきの『今むがし』Vol.144
東町で行われた「海竜まつり」〔昭和62(1987)年5月、いわき市撮影〕
久ノ浜駅から久之浜漁港・避難港に至る道路は、旧国道6号(現県道四倉-久之浜線)を境に県道久ノ浜停車場線と県道久之浜港線に分かれています。
このうち久ノ浜停車場線はわずか41mのごく短い区間で、道幅は3.2mしかなく、路線バスも乗り入れできないほどでした。
この短い区間がなぜ県道に指定されているかというと、かつて、日本の道路が鉄道駅を中心に広がっていたからでした。つまり、大正時代から昭和時代初期にかけて全国の駅に通じる道路が、道幅の広い狭いにかかわらず、ほとんど県道として位置づけされていたのです。
この道路が幅16.5mに拡幅されたのは、平成15(2003)年3月のことでした。
この先は県道久之浜港線に位置づけされていますが、久之浜港は漁港であると同時に県内唯一の避難港であることから、重要視して県道に位置づけたもので、久之浜港で水揚げされる鮮魚を運ぶトラックなどの輸送路になっています。
そのため、この県道と旧浜街道の北側で交差するあたりは、久之浜市街でもにぎわいをみせていました。
昭和62(1987)年、「久之浜・大久地区の未来を創る会」は、まつりを通じて町の一体化を図ろうと、毎年、北町と東町の交差点を中心に「海竜まつり」を開催。まつりは、久之浜商工会や久之浜・大久地域づくり振興協議会に引き継がれ「海竜七夕まつり」として平成10年代まで続きました。
イベントでにぎわう県道久之浜港線〔平成2(1990)年12月、いわき市撮影〕
平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災の大津波は、海岸部の久之浜市街にも大きな被害をもたらしました。
県道久之浜港線沿いの市街は大津波で発生した火災にも遭いましたが、復旧・復興の際は、先に県道久ノ浜停車場線の拡幅工事が完成していたこともあって、県道のルートは変えず、久之浜震災復興土地区画整理事業による新しい街区づくりをめざしました。
この際、「いわき市の景観を守り育て創造する条例」に基づき、二つの県道沿いの対象区域(約470m区間、両側30m)は、建物の形態や色彩など基準を定めて統一感のある街並みをつくるため、「久之浜はまかぜロード景観形成重点地区」として平成28(2016)年8月に指定されました。
これに基づき、屋外広告物の設置基準に配慮した基本計画・形成基準を策定。これは、建造物などの新築や改築、外観の模様替えを行う場合は市への届け出が必要になり、都市街路として景観の魅力アップにつなげようとするものです。
一方、新しい街並み形成とともに重要になるのが、地域住民の日常生活維持です。
市では、津波被害を受けた事業者等の営業再開と地元住民の生活を支援するため、平成23(2011)年9月、久之浜第一小学校校庭に復興仮設店舗「浜風商店街」をオープンさせました。
さらに、国・県などの支援を得るため、地元の被災事業者などでつくったまちづくり会社「浜風きらら(株)」が、国の補助金を活用して商業施設を整備することを定めた「まちなか再生計画」を申請。これは復興庁によって、平成28(2016)年2月に認定されました。
平成26(2014)年6月には、施設予定地の脇に一足早く、人が集まり買い物ができる「きらきら広場」がオープン。その後、「浜風きらら」が平成29(2017)年4月にオープンしました。施設には、生鮮食料品店や飲食店など8店舗と久之浜商工会が入り、地元住民の生活を支えています。
(いわき地域学會 小宅幸一)
その他の写真
東日本大震災で大津波とともに火災も発生〔平成23(2011)年3月12日、石川弘子氏撮影〕
復旧をめざす県道久之浜線沿い(1)〔平成23(2011)年3月14日、いわきジャーナル撮影〕
復旧をめざす県道久之浜線沿い(2)〔平成23(2011)年4月10日、佐川紘一氏撮影〕
復興に向け、久之浜震災復興土地区画整理事業が施行〔平成28(2016)年2月、いわきジャーナル撮影〕
県道久之浜線沿いに商業施設「浜風きらら」が建設中〔平成29(2017)年1月、いわきジャーナル撮影〕
「久之浜はまかぜロード景観形成重点地区」に指定された県道久之浜線〔平成30(2018)年9月、いわき明星大学震災アーカイブ室撮影〕
久之浜の「浜風きらら」オープンテープカット(2017年4月、いわき民報社撮影)
久之浜の「浜風きらら」落成式(平成29年4月、いわき市撮影)
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