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『神谷・泉崎』(令和元年11月27日市公式Facebook投稿)

登録日:2019年11月27日

いわきの『今むがし』Vol.129

上 旧国道と国道の分岐点、平塩字塩向付近から中神谷方面を見る・いわき市誕生記念聖火リレー〔昭和42(1967)3月、いわき市撮影〕
下 旧国道と国道の分岐点、平塩字塩向付近から中神谷方面を見る〔令和元(2019)年9月、いわき市撮影〕


写真1 神谷は、13世紀に神谷氏がこの地を治めたのが始まりとされます。
 江戸時代に入り、神谷村は大きな村であったことから、治めやすいように村切りが行われ、上、中、下の神谷に区分されました。延享4(1747)年には幕府領に組み入れられ、刈萱地内に代官所が置かれます。
 その後、笠間藩、幕府領、磐城平藩を経て、笠間藩となりましたが、陣屋の置かれた字刈萱(代官所がそのまま引き継がれる)は文政6(1822)年に北方の中神谷村字石脇に移されました。
 四倉から平にかけて浜街道の沿う村々は小川江筋からの安定的な水利を活かした米作が盛んに行われ、特に、泉崎、下神谷、中神谷の3村で神社は13社を数え、村名のとおり神々の宿る郷として街道沿いや山裾に人家が軒を連ねていました。
 明治22(1889)年4月に施行された市制・町村制(明治の大合併)では300~500戸の範囲で半ば機械的に区分された結果、上、中神谷が神谷村、下神谷が草野村に編入されました。
 長い間、純農村だった神谷が大きく変化したきっかけとなったのが、高度経済成長期の昭和30年代、生活が豊かになって住宅建設が進み、その場所として住宅の取得しやすい郊外が求められたからでした。
 下神谷字後原には、昭和30(1955)年に市営住宅47戸(集合住宅2棟12戸、戸建て35戸)、県営住宅30戸(集合住宅4棟30戸)が農村地域の水田のなかに公営住宅が整備され、以後年次計画によって公営住宅の建設が相次ぎます。
 

上 旧国道の神谷村大字下神谷字南一里塚付近から塩方面を見る〔昭和53(1978)年7月、いわき市撮影〕
下 旧国道の神谷村大字下神谷字南一里塚付近から塩方面を見る〔令和元(2019)年9月、いわき市撮影〕

写真2

 昭和30年代から40年代の高度経済成長期、公営住宅の建設が続き、新国道の建設も地域の利便性を高めました。それまで、国道は旧浜街道を部分改良していましたが、神谷、泉崎地内では旧浜街道の南方に、昭和33(1958)年度から翌年度にかけて一直線の道路が開通したのです。
 この道路開通によって、新国道と旧国道の間に広がる帯状の区域が公営住宅の適地としてみられるようになり、昭和36(1961)年度から5か年で31棟125戸の市営住宅、さらには同時期に下神谷には県営住宅29戸が建設されます。
 昭和40年代以降も既存の集落に間を埋めるように中神谷、泉崎で市営住宅が建設されていきます。
 市街地の規模を示す人口集中地区人口(DID)は、平成2(1990)年の国勢調査時から神谷地区に設定されました。その時の人口集中区域の人口は6,705人でしたが、平成27(2015)年には8,784人を数え、増加傾向が続いています。
 一方、神谷で行われた市街化では、公営住宅の建設による効果が大きく、加えて、鉄道・草野駅や国道6号新道という交通網の整備という点も見逃せません。神谷で施行された土地区画整理事業は「中神谷」(昭和51年~昭和54年)1か所だけで、その面積は4.4haに過ぎず、平窪で施行された土地区画整理事業区域の5か所計73.0haとは大違いをみせています。
 集合住宅や戸建ての公営住宅、スーパーマーケットと街道沿いの古くからの家屋や由緒ある神社、森。神谷地区を見回すと、新旧の景観が混在する妙をみることができます。
(いわき地域学會 小宅幸一)

 

その他の写真

上 旧国道の神谷村大字下神谷字宿、花園神社付近から塩方面を見る〔昭和53(1978)年7月、いわき市撮影〕

下 旧国道の神谷村大字下神谷字宿、花園神社付近から塩方面を見る〔令和元(2019)年9月、いわき市撮影〕

3

 

上 旧国道の神谷村大字下神谷字内宿、草野小学校前〔平成2(1990)年7月、いわき市撮影〕

下 旧国道の神谷村大字下神谷字内宿、草野小学校前〔令和元(2019)年9月、いわき市撮影〕

4

 

上 国道の神谷村大字下神谷に架かる横断歩道橋を北方に向かって見る〔昭和44(1969)年8月、いわき市撮影〕

下 国道の神谷村大字下神谷に架かる横断歩道橋を南方に向かって見る〔令和元(2019)年9月、いわき市撮影〕

5

 

上 草野村役場(左)、診療所(中)、駐在所(右)・草野村大字泉崎字向原〔昭和時代初期、『いわき今昔写真帖』から引用〕

下 草野村役場跡(草野公民館)〔令和元(2019)年9月、いわき市撮影〕

6

 

平中神谷における側溝清掃(昭和54年5月、いわき市撮影)

7 平中神谷における側溝清掃(昭和54年5月、いわき市撮影)

 

平中神谷市営住宅団地(昭和54年10月、いわき市撮影)

8 平中神谷市営住宅団地(昭和54年10月、いわき市撮影)

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電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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