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『小名川(建物)』(令和元年5月8日市公式Facebook投稿)

登録日:2019年5月8日

いわきの『今むがし』Vol.118

左上 小名川左岸の福島県水産試験場 写真右側に、水産試験場に併設された測候所のポールが見える。遠方の右の森は浄光院。左側は秀明院の大イチョウ。〔明治時代末期、郵便絵はがき 清光堂発行〕
右上 福島県水産試験場の全景 写真手前は小名川。〔明治時代末期、郵便絵はがき 樋口商店発行〕
左下 小名浜水産所跡の現在〔平成31(2019)年3月、いわき市撮影〕

1<水産試験場>
 小名川は小名浜漁港区に注ぐ小規模な河川ですが、市街地を流れることから、この河川をめぐり、沿岸の建物にはさまざまな変化が見られます。
 古い写真を見ると、左岸には、明治35(1902)年5月に小名浜字古湊に設置された福島県水産試験場(明治35年4月に県庁内に仮開所)が見えます。ここでは水産調査、缶詰製造、加工物の改良、鰹節製造の指導などが行われ、ほかにも漁船の動力化や新しい漁法、漁場開拓などに取り組み、“水産いわき”における先駆けの役割を担ってきました。
 その後、水害防止のために堤防が築かれるとともに、埋め立てが海岸に向かって進められ、小名川も海へ押し出されました。
 水産試験場の施設は老朽化が進み、加えて業務拡張、小名川の拡幅のため改築移転が必要となったことから、福島県は小名浜町、江名町、豊間村からの負担金を得て、昭和11(1936)年に水産講習所とともに施設を埋立地の栄町へ移転させました。(さらに昭和41年には、施設を三崎公園下の小名浜下神白へ移転)
   
<小名川べりのマーケット>
 小名川の下流では、磐城炭礦の鉄道(湯本-小名浜)が明治20(1887)年から昭和19(1944)年まで通じていました。しかし戦争末期、軌条が戦時体制を維持するため炭鉱の坑内機材に転用されたことにより廃止となったのです。
 昭和20(1945)年8月に戦争が終わると、その空地には海外引揚者や戦災者がバラック小屋を建てて住むようになりました。
 日本が荒廃から立ち直った昭和28(1953)年9月、小名川改修工事を機に、県道小名浜-四倉線上の小名川橋の上流・左岸に沿って1店舗面積わずか2坪(6.6㎡)の総2階建てに改造されました。建物には、飲食店15、洋服4など22店舗(その他、一般住宅4)が店を開きます。背後はすぐ浄光院の崖、前は小名川に挟まれた細長い建物で、「小名川マーケット」と呼ばれるようになりました。

 

上 小名川べりで営業する飲食店〔平成7(1995)年5月、高萩純一氏撮影〕
下  小名川マーケット跡の現在〔平成31(2019)年3月、いわき市撮影〕

2<水産試験場 ⇒ 割烹料亭>
 初代の水産試験場跡地の一部には、現在割烹料亭が建っています。

<小名川マーケット ⇒ 緑地歩道>
 歳月を経て、「小名川マーケット」に変事が起こりました。
 昭和50(1975)年1月に17軒が焼けるという火災が発生。これを機に移転促進を進められ、次第に櫛欠けとなっていきました。
 その後、建物の老朽化が進み危険な状態なったことから、古湊地区では、「環境整備推進協議会」を設立。地権者や居住者の理解を得るなどの活動が実施されました。歩道の整備、危険防止の崖の補強、建物の解体と整地を進め、街灯やベンチの設置が施されて、平成11(1999)年3月に完成、同年5月に竣工記念の植樹が行われ、緑豊かな空間に生まれ変わりました。

<小名浜ポンプ場>
 小名川は水量が少なく、また都市を流れる河川であることから、ごみが捨てられることが多く、渇水時などには悪臭が放たれ、環境悪化が懸念されていました。さらに、満潮時に大雨が降ると海から海流が逆流して上流からの水とぶつかり川があふれて、流域では水害が引き起こされる事態が生じました。
 そのたびに、浚渫(しゅんせつ)してきましたが、抜本的な解決にはつながりませんでした。
 このため、市は下水道事業として、小名川橋と港橋の間に巨大な2階建て小名川ポンプ場を設置し、スクリューポンプ5基(1基=直径3.2m、長さ13m)を取り付ける工事を昭和49(1974)度から昭和53(1978)年度までの5か年事業で行われました。併せて、岡小名から下流側の川幅を広げ、河床をコンクリート化する事業(延長3,290m)も行われました。
 この工事施工によって、満潮時に海水が逆流して、一旦海に入った川水が元の川に戻ることがなくなり、小名浜市街地は常習水害から解放されることになりました。

(いわき地域学會 小宅幸一) 

 

その他の写真

小名川べりの水産試験場(明治時代末期  郵便絵はがき 清光堂支店)

小名川べりの水産試験場(明治時代末期  郵便絵はがき 清光堂支店)

 

小名浜諏訪町付近の小名川を上流右岸から見る(昭和46年7月、いわき市撮影)

小名浜諏訪町付近の小名川を上流右岸から見る(昭和46年7月、いわき市撮影)

 

川の汚染が問題となっていた頃の小名川橋(昭和46年7月、いわき市撮影)

川の汚染が問題となっていた頃の小名川橋(昭和46年7月、いわき市撮影)

 

小名川ポンプ場建設(昭和50年、いわき市撮影)

小名川ポンプ場建設(昭和50年、いわき市撮影)

 

小名川ポンプ場に巨大スクリューが設置(昭和52年3月、いわき民報社撮影)

小名川ポンプ場に巨大スクリューが設置(昭和52年3月、いわき民報社撮影)

 

小名川ポンプ場を上流側高みから見る(昭和54年10月、いわき市撮影)

小名川ポンプ場を上流側高みから見る(昭和54年10月、いわき市撮影)

 

小名川ポンプ場(昭和55年8月、いわき市撮影)

小名川ポンプ場(昭和55年8月、いわき市撮影)

 

小名浜古湊の小名川べり棟割飲食街「小名川マーケット」を下流に向かって見る(平成元年9月、いわき民報社撮影)

小名浜古湊の小名川べり棟割飲食街「小名川マーケット」を下流に向かって見る(平成元年9月、いわき民報社撮影)

 

小名川ポンプ場と港橋を下流側から見る(平成5年4月、いわき市撮影)

小名川ポンプ場と港橋を下流側から見る(平成5年4月、いわき市撮影)

 

小名川べり商店街を対岸の小名浜字橋本から見る(平成7年5月、高萩純一氏撮影)

小名川べり商店街を対岸の小名浜字橋本から見る(平成7年5月、高萩純一氏撮影)

 

小名浜字古湊を流れる小名川を下流から見る(平成7年5月、いわき民報社撮影)

小名浜字古湊を流れる小名川を下流から見る(平成7年5月、いわき民報社撮影)

 

小名浜諏訪神社例大祭の「第2回どんとやれ、大漁旗!」販売コーナー(平成29年5月、いわき民報社撮影)

小名浜諏訪神社例大祭の「第2回どんとやれ、大漁旗!」販売コーナー(平成29年5月、いわき民報社撮影)

 

小名浜鎮守諏訪神社例大祭に併せて「第2回どんとやれ、大漁旗!」のライトアップ(平成29年5月、いわき民報社撮影)

小名浜鎮守諏訪神社例大祭に併せて「第2回どんとやれ、大漁旗!」のライトアップ(平成29年5月、いわき民報社撮影)

 

小名浜港修築工事竣工平面図予定図(昭和時代初期)

地図1 小名浜港修築工事竣工平面図予定図(昭和時代初期)

 

 

 

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総合政策部 広報広聴課

電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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