食品の相談事例紹介
登録日:2016年3月3日
保健所に寄せられた食品の相談事例について
食品に対する苦情や相談が市民の皆様から寄せられると、保健所では製造・流通・販売等の各段階で原因調査をするとともに、関係業者に対し再発防止の指導を行っています。なお、原因調査は健康被害が高いと思われる内容を優先して行います。
苦情や相談内容で多いのは「異物の混入」、「カビの発生」などがあります。ここでは、苦情等の調査結果や相談に回答した結果を紹介します。身近なところで起こりうる問題もありますので参考にしてください。
食品の苦情事例集
- 事例1 ウインナーに髪の毛
- 事例2 パンに紙が
- 事例3 パンに砂
- 事例4 ホタテの缶詰にプラスチック片
- 事例5 プリンに虫
- 事例6 菓子に虫様の異物(チョコレート)
- 事例7 カステラにカビ
- 事例8 期限が切れた飲料にカビ
- 事例9 パンに異物が?
- 事例10 牛乳瓶の底に白い物質が
- 事例11 ホワイトソースの味がおかしい
事例1 ウインナーに髪の毛
髪の毛の混入は製造者の不注意で混入してしまうことが多い異物です。
1 相談内容
「ウインナーに髪の毛のような異物が入っている」という苦情が届けられました。
保健所でウインナーを確認すると、ウインナーの外側に付着しているのではなく、ケーシングというウインナーの皮の部分と肉の間、つまり内側に入っている状態でした。製造過程で入ったことが明らかです。
2 調査結果
毛髪様の異物を確認したところ、人の髪の毛であることが分かりました。保健所は直ちに製造工場へ立入調査を実施し、製造者の身だしなみの検査を徹底することを指導しました。
事例1 ウインナーに混入していた異物(髪の毛)
事例2 パンに紙が
紙片の混入は、製造者の不注意で混入してしまう異物です。
1 相談内容
保健所へ「スーパーで購入したパンに乾燥剤のような袋が練りこまれていた。店舗にも伝えたが、店側では責任ある対応があまりなかった。」という相談が寄せられました。
保健所で「紙片の練りこまれたパン」を確認すると、紙片はパンの材料に入っている脱酸素剤であることが分かりました。
2 調査結果
製造所を調査した結果、パン生地を練る過程で原材料を包装から直接ミキサーに投入したところ、包装内部に入っていた脱酸素剤がそのまま入り、生地に練りこまれて製造されたことが分かりました。
製造者に対し、製造過程を見直し、異物混入についての管理体制を徹底するよう指導しました。
事例2 パンに異物混入(脱酸素剤)
事例3 パンに砂が
砂が入ったパンという届出でしたが、よく見てみると
1 相談内容
保健所へ「スーパーで購入した調理パンを食べるとジャリジャリした食感がし、砂が入っているようだ。製造者の連絡先に問い合わせたが、対応が遅いので保健所へ申し出た。」という相談です。
2 調査結果
保健所で苦情品を確認すると、黒い小さな粒様のものがパンの底部に付着していました。焦げが付着しているようにも見えます。そのように説明しましたが、相談者は、これまでにも同じ商品を購入しているが、このような異物があったのは初めてとのこと。製造所が市外であったため、製造所のある保健所を通して製造所の調査を依頼しました。
異物は、パン表面の物質と同一の成分であることが判明しました。製造所を調査した結果、パンを焼く際に鉄板に焼カスが付着するのを除去しきれず、製品に付着してしまったと分かりました。
保健所から製造者に対して、再発防止策をとるよう指導がありました。
事例3 パンに砂様の異物(焦げ)
事例4 ホタテの缶詰にプラスチック片
ホタテの水煮缶にプラスチック片のような異物とのことでしたが
1 相談内容
保健所へ「ホタテの水煮缶を開封してそのまま炊き込みご飯にしたところ、プラスチック片のような異物があった」という相談が寄せられました。
2 調査結果
保健所で苦情品を確認すると、貝殻の破片のように見えると説明しましたが、相談者は、以前異物が入っていた時に製造所に連絡したが、明確な回答が無かったことから、今回は調査をきちんとしてほしいので保健所へ相談したとのこと。
製造所が市外であったため、製造所のある保健所を通して調査を依頼しました。
異物は、プラスチック片ではなく、ホタテ水煮の原料の貝殻の破片であることが分かりました。
保健所から製造者に対して、再発防止策をとるよう指導がありました。
事例4 ホタテ缶詰 異物
事例5 プリンに虫
1 相談内容
保健所へ「頂きもののプリンに虫が入っていた」という相談が寄せられました。
2 調査結果
プリンは、蓋付の容器に入り、さらに化粧箱に入っているまま届出者宅の冷蔵庫で保管されており、虫を発見したのも開封前であることから、製造過程で混入した可能性が高いことから、販売店の調査を直ちに実施しました。
その結果、販売日と届出者の貰った日がほぼ一致したこと、製造者は市外にあることが分かりました。このため、製造所を所管する保健所を通して調査を依頼しました。
保健所から製造者に対して、製造所内の虫の侵入防止対策を始めとした、再発防止策をとるよう指導がありました。
事例5 プリンの異物(虫)
事例6 チョコレートに虫
虫の混入は、製造施設内で入る場合と、家庭内での保管状況が原因となる場合もあります。
1 相談内容
保健所へ「家族の者がピーナッツチョコレートを食べようとしたら、虫が出てきた」という相談が寄せられました。
2 調査結果
届出者が食べた状況、家庭での保管状況、購入先などを確認できたのは、次の内容でした。
購入した時期が不明、家庭では一度開封して台所で虫を発見するまで保管している、購入先は市内のスーパーである。
保健所で市内のスーパーに問い合わせたところ、同じ商品が市内のスーパーに入荷されたのが7月末まで、販売した時期が7月初めから8月末までであることがわかりました。
このことから、相談者の家族がチョコレートを購入し開封したのは7月から8月にかけて、虫を発見したのが9月ということがわかりました。
発見された虫は「ノシメマダラメイガ」という食品害虫の一種で、紙やチョコレートなどの包装は幼虫が食い破って中の食品を食べるという虫でした。幼虫の大きさから産卵時期が8月中旬頃と推定され、販売先、家庭内で混入した可能性もありました。販売先および相談者に虫の性質を説明し、家庭での保管方法にも注意が必要なことを伝えました。
事例6 チョコレートに異物
事例7 カステラにカビ
1 相談内容
保健所へ「今日カステラを買い、食べていたところ、残りのカステラにカビが生えているのを見つけた。他にも同じ商品を買っていた人もいたので、心配で届け出た。」という相談が寄せられました。
2 調査結果
保健所で顕微鏡によりカビ様の物質を確認すると、ペニシリウム属のカビであることが判明しました。
開封後直ぐ食べていることから、製造施設での衛生管理の不備、販売時の温度管理がカビの発生要因と疑われました。
製造所、販売場所を直ちに調査したところ、カステラを焼き、一時保管する容器(重ねて保管する容器)の底の部分にカビが発生していること、容器の底部の模様と、カステラのカビの付き方が似ていました。また、包装までは異常が認められなかったこと、販売場所では夏場に関わらず室温に近い状態で販売していたことから、製造施設内でカビの胞子が付着し、販売場所でカビが発生したと考えられました。
製造者に対し、施設内の容器の洗浄・消毒の徹底、販売場所での温度管理の徹底を指導しました。
事例7 カステラにカビ
事例8 期限が切れた飲料にかび
1 相談内容
保健所へ「賞味期限が切れたのに気づかず、紙パックの飲料を飲んだところ、フィルム状のものが出てきた。製造者へ問い合わせたところ『カビ』と言われたが、本当か。軽度の下痢症状もある」という相談が寄せられました。
2 調査結果
保健所で苦情品を確認すると、賞味期限から20日以上経過してから相談者が開封し飲んでいたことになりました。紙容器の内側にフィルム状のものが張り付いていること、底部にもフィルム状の物質がありました。顕微鏡で確認したところ、糸状不完全菌類の菌糸と類似しており、紙パック内で糸状不完全菌類が増殖し、ゲル状となりバイオフィルムを形成したと考えられました。
下痢症状については、医師の診察を受けるようすすめました。
事例8 フィルム状の物質
事例9 パンに異物が
1 相談内容
保健所へ「いつもスーパーで購入している食パンを食べたら、ガリッとした食感がしたので、吐き出したところ、異物が出てきた。今までこのようなことは初めてだし、パンに入るはずが無いので、調べてほしい。」という相談が寄せられました。
2 調査結果
所内の食品衛生監視員で、異物を見たところ、プラスチック片や石などではなく、米粒によく似て、穀物のようにも見えます。製造所が市外であったため、製造所のある地域の保健所を通して異物が何であるか、調査を依頼しました。 異物は、パン生地が固まったものであることが分かりました。製造ラインで、別の製品(食パン)を製造したときのパン生地が残り、乾燥したところで、今回の商品を製造し、混入したものでした。製造所の調査を担当した保健所から製造者に対して、製造ラインの付着物除去の徹底など再発防止策をとるよう指導しました。考えられました。
事例9 パンの異物(パン生地の塊でした)
事例10 牛乳瓶の洗浄不良?白い物質が底に
1 相談内容
「宅配の牛乳瓶を水洗いしたところ、底に白いものが残っている。もともと洗浄不足で牛乳瓶に付着していたのではないか?保健所で調べてほしい」という相談が寄せられました。
2 調査結果
商品を確認すると、カルシウムが多く入っているものでした。製造所が市外であったため、製造所のある地域の保健所を通して異物が何であるか、調査を依頼しました。白い付着物は炭酸カルシウムを含む白色の粉末でした。
製造ラインで、炭酸カルシウムを配合していますが、静置すると底に沈むため、沈殿物を乾燥させたところ、今回の瓶の状態によく似た白色の付着物になりました。工場では洗瓶機で洗浄し、洗浄状況を確認する機器を通す工程で行われていました。持ち込まれた瓶を点検する機械に通すと、洗浄不十分となりました。次に洗瓶機にかけると白い物質はきれいに洗浄されました。よって、洗浄、点検工程に異常は見られませんでした。
今回の事例は、出荷後から飲食するまでの期間、炭酸カルシウムが瓶の底に沈殿し、飲んだ後も、底へ残り、水分が蒸発し、付着したものと考えられました。製造者は、洗浄・製造ラインの管理を充実させ、商品の性質上「飲む前によく振ること」が必要であることを消費者に啓発していくことになりました。
事例10 牛乳瓶の底に付着した白い物質
事例11 ホワイトソースの味がおかしい?
1 相談内容
保健所へ「缶詰のホワイトソースを開けたら、缶の内側に茶色い繊維状の物質があり、味見をしたら、後味が薬品のような感じがした。製造者へ連絡しようと思ったが、電話番号の記載が無くかったので・・・」という相談が寄せられました。
2 調査結果
現品を、当所食品衛生監視員2名で確認したところ、臭気・味ともに特に異常は感じられませんでした。臭いや味については、感じ方に個人差があります。今回は茶色い物質もソース残品に入っていたので、異味を感じる要因になるか、製造所のある地域の保健所を通して調査を依頼しました。
調査の結果、茶色の物質は開缶する際に缶の内側の塗装が缶切の先端で削り取られたものであり、これが異味の原因と考えられました。(開缶直後に味見したため、ソース表面にあった塗装片を多く口に含んでしまったものと考えられます。)
事例11 ホワイトソースに見られた茶色の物質
このページに関するお問い合わせ先
保健福祉部 保健所 生活衛生課 食品衛生係
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