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市長議会提案説明

登録日:2024年2月15日

市長議会提案説明(令和6年2月定例会)   

 

 

 本日ここに、令和6年市議会2月定例会が開催されるに当たり、令和6年度の市政運営の基本的な考え方と提出議案についての提案理由を説明申し上げます。併せて、市政を取り巻く諸問題について報告を申し上げます。

 

 はじめに、令和6年度の市政運営の基本的な考え方を申し上げます。

 私は、これまで一貫して「人づくり日本一」を政策の旗印に掲げ、様々な取組みを推し進めてきました。

 市政を取り巻く情勢は、防災、医療、地域交通、教育、子育て、産業、農林水産業など、多岐に渡る分野で、待ったなしの対応が求められています。各分野における様々な課題を克服し、未来を切り拓くためには、やはり人の力の結集が必要不可欠です。

 地域社会の進展は、人財の育成にかかっていると言っても過言ではありません。先般の豪雨災害時に、人の力が結集し、一つひとつ克服していったように、皆が協力して困難に向き合い、知恵や経験を分かち合うことで、無限大の力が発揮できると信じています。

 改めて市民の皆様といわきへの想いを共有し「人づくり日本一」の実現に向け、積極果敢に政策を推し進めます。政策の柱に「次世代を育てる」、「命・暮らしを守る」、「まちの魅力を高める」、「豊かさを創る」の4つを掲げ、各分野における様々な取組みに挑戦します。

 また、これらの政策を支える構造改革に併せて取り組み、柔軟で持続可能な行財政運営に向け、改革・改善の動きを力強く前進させていきます。

 

 初めに、1つ目の柱「次世代を育てる」についてのうち、まず「教育」の分野です。

 未来に夢を持ち、ふるさとを支え、日本を支え、世界に飛躍する人づくりを目指します。

 現在、学力向上チームが、全国学力・学習状況調査等のデータを分析し、各学校の強みや課題を学校カルテとして取りまとめ、学力向上アドバイザーが全学校を訪問し、具体的な指導・助言をしています。

 今後は、分析対象を拡充し、学校カルテの機能と精度を高めるとともに、教職員向けのワークショップも拡充して、学校との連携を強化するなど、学力向上の取組みを更に推進していきます。

 また、特別支援教育においても、支援員の増員を図り、全ての子ども一人ひとりの特性に応じた教育環境の充実を進めていきます。

 更には、不登校の児童生徒を対象に、チャレンジホームの改善・充実も含め、安心して学べる多様な居場所づくりの取組みを着実に進めていきます。

 加えて、引き続き、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、学校給食費の第3子以降への支援を行うほか、これまで取り組んできた学校業務のデジタル化と併せ、スポーツ団体や文化団体等と連携した部活動の地域移行に向けた環境整備に取り組み、教職員の働き方改革を進めます。

 次に「子育て」の分野です。

 子どもまんなか笑顔と夢が広がるまち・いわきを目指します。

 国が打ち出す「こども未来戦略」等に基づく異次元の少子化対策等に的確に対応していきます。

 国の子育て施策の取組みと連動し、新たに「こども家庭センター」を設置するなど、相談体制等を更に拡充します。

 また、「出産育児一時金」や「出産・子育て応援金」などによる経済的支援と併せ、子育て・母子保健コンシェルジュの取組みや本市の恵まれた自然環境等も含めた子育て情報の発信強化により、妊娠・出産・子育ての切れ目のない総合的な支援に着実に取り組みます。

 更に、子ども食堂の運営支援やヤングケアラーの支援に継続して取り組み、様々な困難を抱える子どもと家庭の支援にも注力していきます。

 加えて、就労と子育ての両立に向け、放課後児童クラブの拡充や保育人財の確保に努めるとともに、ICTツールの活用も視野に保育士の働き方改革を進め、保育の質の向上を図ります。

 次に「地域づくり」の分野です。

 みんなでつなぐ、地域の暮らしや、若者の流出抑制・人財還流を目指します。

 人口減少・少子高齢化に伴い、地域活力の低下が顕在化しており、多様化する市民ニーズに対応した社会サービスの提供が重要となっています。

 これらも踏まえ、特に、市民活動団体等と連携し、NPO法人等を支援する中間支援団体の組織化に向けた取組みを支援するほか、町内会活動の活性化や運営の負担軽減を図るため、デジタル化や課題解決に向けた取組みを支援し、地域力の強化に取り組みます。

 また、市内企業の魅力や先端的な取組みなどの「見える化」を進め、様々な機会を捉えて若者等へ発信するとともに、合同企業説明会の開催などを通じて、人財確保に向けた市内企業の活動を支援し、ふるさといわきでの就業を促進します。

 

 続いて、2つ目の柱「命・暮らしを守る」についてのうち、「防災」の分野です。

 災害から命と財産を守る「逃げ遅れゼロ、災害死ゼロ」を目指します。

 昨年の台風第13号に伴う豪雨災害を踏まえ、更に防災・減災に力を入れていきます。

 今般の災害経験を本市の防災力・災害対応力の向上につなげていくため、昨年10月、東北大学災害科学国際研究所や福島工業高等専門学校などの学術研究機関の専門家等で構成される検証チームを設置しました。本年度末に提出される検証結果を踏まえながら、更なる対策を講じるとともに、国・県等とも連携した河川改良などの流域治水対策に取り組むほか、内郷御厩町、綴町においては雨水貯留施設の整備に取り組みます。

 また、県における新たな防災情報システムの構築に合わせ、デジタル技術等を最大限活用した防災・災害情報の収集や伝達手段、通報システム等を見直すとともに、消防団の迅速・的確な活動をサポートするための消防団専用アプリを導入し、災害対応力を強化します。

 更に、共助の担い手となる自主防災組織の充実・強化に向け、登録防災士制度の普及促進と併せ、自主防災組織に防災士が2名以上所属できるよう防災士養成講座の受講対象者を拡充するなど、防災士の養成に注力しながら、防災力の更なる強化を図ります。

 次に、「医療」の分野です。

 医療確保と将来人財の育成を目指します。

 医師不足の解消に向け、「いわき市医療構想会議」において、市医療センターをはじめとする市内の病院における診療科ごとの医療充実の戦略を構築しながら、医師招聘に向けた大学医学部寄附講座の拡充を図るほか、新たに医師招聘推進企画官を配置するなど、体制を強化し、粘り強く医師確保に取り組んでいきます。

 また、将来の医療人財を育成するため、小学生から研修医まで切れ目なく、「医療を学ぶ」「医療を育てる」ための取組みを充実させていきます。

 加えて、手術支援ロボット「ダビンチ」やドクターカーの運用など、新たな技術や仕組みを積極的に活用し、市民の皆様が安心して暮らせる医療提供体制の確保・充実を図ります。

 更には、いわき駅周辺等のまちづくりと連動した医療体制の充実に向け、医療施設の整備を支援します。

 次に、「福祉・健康・地域共生社会」の分野です。

 住み慣れた地域で共に生き、支え合い、誰もが安心して、健康で自分らしく暮らせるまちを目指します。

 従来の分野別の福祉サービスだけでなく、様々な機関が連携し、「断らない相談支援」を念頭にしたワンストップ相談など、包括的かつ重層的な支援に着実に取り組みます。

 また、若い世代からの生活習慣病予防対策として、市内中学校と連携した生徒の健康状態の把握と保健指導、健康教育授業等にも一体的に取り組み、保護者も含めた健康づくりの意識醸成を図ります。

 更に、青年期・壮年期の運動の習慣化を促進するため、市内のプロスポーツクラブと連携し、ライフステージに応じたプログラムの構築と保健指導等の取組みを一体的に行い、官民を挙げて本市の課題となっている生活習慣病の予防・改善等に取り組みます。

 

 次に、3つ目の柱「まちの魅力を高める」についてのうち、「まち」の分野です。

 未来に誇れる都市への挑戦や里山の恵みと文化の維持・継承を目指します。

 ネットワーク型コンパクトシティの実現に向け、いわき駅周辺の都市機能集積を着実に推進し、常磐・四倉地区においても地域の声を聴きながら市街地再生整備を進めるなど、新たな時代を築く街の再生・都市整備に果敢に挑戦します。

 また、中山間地域においては、持続可能な地域づくりに向け、本年度川前地区において開設された、医療・介護・福祉、地域交通などの生活サービス機能や活動拠点を一定程度集積した小さな拠点づくりの取組みをモデルとしながら、里山の暮らしを支えることができるよう、他地域への展開も見据えた検討を地域とともに進めます。

 次に、「デジタル・トランスフォーメーション DXと、グリーン・トランスフォーメーション GX」の分野です。

 これらDX、GXへの投資の促進を目指します。

 Society5.0の実現に向けて、スマートタウンモデル地区の推進をはじめ、オンラインによる行政窓口サービスの拡充や電子契約システム等の導入を進めるほか、行政Maasを活用した中山間地域等へのアウトリーチ型の市民サービスの提供などにより、市民の皆様が便利で豊かに暮らすことができる社会の実現を目指します。

 また、脱炭素社会の実現に向け、昨年11月に策定した「いわき市脱炭素社会実現プラン」に基づき、市民の皆様がライフスタイルに再生可能エネルギーを導入する際の支援をはじめ、将来世代を対象とした環境教育による人づくりや、市内中小企業の脱炭素化に向けた支援などにも取り組みます。

 これらを通じ、行政・市民・事業者・関係団体が一体となった取組みにつなげ、2050年に市内全体からの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指します。

 次に、「地域交通」の分野です。

 都市づくりと連携し、市民の足として、誰もが利用しやすい公共交通の実現を目指します。

 広域多核都市である本市は、他都市と比較しても、自家用車の利用が突出しており、公共交通の利用者の減少により、公共交通の衰退、利便性の低下といった悪循環になっています。

 既存の公共交通の維持に向けた事業者への支援や公共交通の利用促進を図るほか、中山間地域等では各地域の実情に応じた交通確保策を図るべく、令和7年度までに実証実験を進め、令和8年度からの社会実装に努めます。これまで以上にスピード感をもって対応するため、組織体制を強化しながら、地域交通の確保等を進めます。

 

 続いて、4つ目の柱「豊かさを創る」についてのうち、「産業」の分野です。

 変化に強い企業づくりと産業界が求める人財の育成・確保を目指します。

 風力産業、バッテリー産業の推進や、今後成長が期待できる分野の技術開発等を支援するとともに、創業から、成長・成熟、事業の再生に至るまで、チャレンジする企業のニーズを踏まえた支援策を展開し、地域に根差した企業の生産性の向上や付加価値を高め、稼ぐ力の向上を図ります。

 また、産業人財の確保に向け、脱炭素、デジタル、経営者育成をテーマとした官民連携による新たな産業人財育成に取り組みます。

 更に、福島国際研究教育機構、通称F-REIとの連携を促進し、市内企業が関わることができる研究や技術などの提案を支援します。併せて、去る1月に開催した「F-REIとの連携に係るいわき市推進協議会」において、産学官の連携によるプラットフォームを組織し、令和8年度以降に、大学等が連携した教育プログラムの構築を目指すこととなりました。今後、当該プログラムの内容や実施体制等の具体的な検討を進め、F-REIを契機とした若者の還流や、地域の若者等の挑戦や活躍、そして定着を支え促す取組みにつなげていきます。

 次に、「農林水産業」の分野です。

 持続と自立が可能な「稼げる一次産業」を目指します。

 農業では、振興作目を中心とした産地形成を着実に進めるとともに、国・県等の制度を活用しながら、省力化や高品質化に向けた農業機器や種苗の導入等を支援し、産地競争力の強化を図ります。

 また、福島大学食農学類との連携により、これまでのフィールドワークを踏まえ、生産現場が抱える課題解決に向けた実証事業に取り組みます。

 林業では、スマート化に向けた林業機械・ドローン等の導入支援や新規就業者の支援のほか、適正に管理された森林から産出された木材であることを示す森林認証取得への補助等を通じ、幅広く担い手支援に取り組みます。

 水産業では、主力商圏である首都圏での「常磐もの」のプロモーション活動とバイヤー等と連携した新たな販路の開拓に取り組み、その認知度向上とブランド力の強化を図ります。

 このような取組みにあたり、部内組織の再編を行い、効率的・効果的に進めます。

 次に、「観光・文化・スポーツ」の分野です。

 文化・スポーツによる新たな観光誘客と地域経済の活性化を目指します。

 東日本大震災や原発事故、更にはコロナ禍により減少した観光入込客数を回復させるため、持続可能な観光振興を目指し、教育旅行やコンベンションの誘致、サイクルツーリズム、更には、県の取組みとも協調し、インバウンドの誘客などに積極的に取り組みます。

 また、本市のシンボルであるフラ文化やいわきFCの躍動を地域の活力として、経済の好循環や観光振興につなげるとともに、全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会男子の浜通りでの開催や、ラグビー、バレーボールなどのトップリーグの大会開催を通じ、本市の経済活性化とスポーツによるまちづくりを推進します。

 加えて、いわきが生んだ著名芸術家のお力を借りながら、その芸術性や生き様を学ぶ人財育成にも注力し、子どもたちの豊かな感性と創造性を育む機会の創出に取り組みます。

 

 最後に、これらの政策を支える「構造改革」についてです。

 構造改革に着手して、間もなく2年が経過し、次年度は集中改革期間の最終年度を迎えます。古い慣習や仕組み、職員の意識を大胆に変え、新たな価値を生み出していくこと。そして、行政資源を課題の解決と未来への投資に再配分していくこと。これら本市が目指す構造改革の姿を実現すべく、取組みを更に前進させていきます。

 このような想いのもと、今後進めていく重点プロジェクトのうち、3つの取組みを申し上げます。

 1つ目は「LINE市役所」の取組みです。

 LINEは、ユーザー数が9,000万人を超えるサービスであり、現在も、情報発信を目的として市公式LINEを導入しています。今後、この機能を拡充し、様々な行政サービスをオンラインで気軽に利用できるようにするほか、公共施設の予約、学校と保護者間の連絡など、ニーズが高いサービスメニューをLINEに集約し、市民の皆様の利便性の向上を図っていきます。

 2つ目は「保育所DX」の取組みです。

 慢性的な人員不足などにより、保育現場は多忙を極めています。保育の質の向上と、子どもの安全・安心の確保を図るため保育士がより子どもと向き合う時間を生み出せるよう、事務作業などの省力化・効率化のみならず、保護者との連絡や登園・降園状況の管理、発育・健康状態の確認などが可能となる保育業務支援クラウドサービスの導入に向け、検討を進めます。

 3つ目は「公共施設等の最適化」です。

 市内の公共施設等は、現在、次々と更新や改修の時期を迎えています。その一方で、人口減少や少子高齢化などにより、施設の維持管理・更新に係る費用を負担する世代の人口はこれからも減っていく見通しであり、今ある施設を全て更新することは、既に不可能な状態にあります。対話を通じて市民の皆様の考えを汲み取りながら、市民サービスのレベルを可能な限り維持する「ちょうどいい水準」へと、公共施設等を最適化していきます。併せて、施設の保守・点検や修繕等の保全手法の見直しなども進めていきます。

 これらの取組みは時限的ではなく恒常的に取り組んでいく必要があります。デジタルを活用した更なる業務改革を本格化させるため、組織体制の充実・強化を図りながら、なお一層、改革・改善の取組みを加速させていきます。

 以上、令和6年度の市政運営についての基本的な考え方を申し上げました。

 私が市政の舵取り役を担ってからの様々な取組みを通じて、先般の台風第13号における災害対応をはじめ、各地域や現場に出向く中で、自立的なまちづくりの芽吹きを感じる機会も増えており、「人づくり」の歩みの進化を感じています。今後も、人の育成、人への投資に焦点を当て、様々な取組みに挑戦していきます。

 引き続き、現場主義に徹し、変革を一つひとつ積み重ね、市民の皆様に変化を実感いただけるようなまちづくりを進め、若者から高齢者まで、あらゆる世代がいわきに魅力を感じ、いわきを誇りに思うまちを「人づくり」で実現します。

 

 次に、今回提案いたしました議案について説明申し上げます。

 議案件数は、条例の廃止案が2件、改正案が20件、予算案が35件、その他の議案が11件の計68件であります。

 私からは、今回提案の議案のうち、条例の改正案1件及び新年度予算案の概要について説明申し上げます。

 

 初めに、「議案第17号いわき市介護保険条例の改正について」申し上げます。

 介護保険の第一号被保険者保険料につきましては、保険者である市が、介護サービスの必要量と供給量等に関する介護保険事業計画を3年1期として策定し、その中で保険料を算出することとしております。

 次期計画期間の令和6年度から令和8年度につきましては、75歳以上の後期高齢者が増加することで要介護認定者数が増加し、介護給付費は引き続き増加すると見込まれており、また、昨今の物価上昇や介護職員の処遇改善を含めた介護報酬の増額改定の影響等から、保険料の上昇は避けられない状況となっております。

 このため、市としましては、今回の保険料率の改定にあたり、物価上昇等に伴う市民の生活状況に鑑み、まず、介護給付費準備基金の取り崩しにより可能な限り保険料の上昇を抑えることとします。

 その上で、介護保険制度の持続可能性を確保する観点から、保険料負担にかかる所得段階を現行の11段階から13段階に多段階化し、高所得者の保険料率を引き上げるとともに、低所得者の保険料率を引き下げ、第一号被保険者間での所得再分配機能の強化を図ります。

 加えて、公費による低所得者の負担軽減制度を引き続き活用して、なお一層の軽減に努めることとし、市民の保険料負担を可能な限り抑制しながら、介護保険の適切な運営に必要な保険料額の確保を図るため、保険料率等について、所要の改正を行うものです。

 

 次に、新年度予算案の概要について説明申し上げます。

 まず、本市の予算編成に大きな影響を及ぼす国・県の予算につきまして、そのあらましを申し上げます。

 令和6年度の国の予算は、歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れを掴み取るとの観点に立ち編成されております。

 また、「第2期復興・創生期間」の4年度目である令和6年度予算においては、心のケア等の被災者支援や、原子力災害被災地域における中間貯蔵施設関連事業、帰還・移住等の促進、ALPS処理水の処分等に伴う風評の払拭などの本格的な復興・再生に向けた取組みを推進するとともに、「創造的復興の中核拠点」となる福島国際研究教育機構に係る施設整備に向けた取組み等に必要な予算を確保するものとなっております。

 他方、県の予算は、原油価格・物価高騰等に適切に対応しながら、複合災害からの復興や人口減少の克服に向けた福島ならではの地方創生を更に加速させ、防災力の強化や地球温暖化対策、デジタル変革を推進するなど、総合計画を着実に前進させるための予算として編成されております。

 このような国・県の予算編成の動向を踏まえながら、新年度の本市の財政見通しを申し上げますと、まず歳入面でありますが、市税につきましては、定額減税等に伴い市民税が減収となるほか、家屋の評価替えにより固定資産税が減収となることなどから、全体では、前年度と比べ3.4%の減と見込んでおります。

 地方交付税につきましては、市税減収等に伴い普通交付税が増となることが見込まれることなどから、全体では、前年度と比べ21.5%の増と見込んでおります。

 また、国庫支出金につきましては、新型コロナウイルス感染症関係経費の減少や、水産業共同利用施設復興促進整備事業費補助金の終了などに伴い、福島再生加速化交付金が減少することなどにより、前年度と比べ12.3%の減と見込んでおります。

 更に、市債につきましては、国の地方財政対策に基づいた見込みにより、臨時財政対策債の発行額が減となることなどから、前年度と比べ12.2%の減と見込んでおります。

 このほか、自主財源の確保はもとより、可能な限り財源の確保に努めても、なお大幅な財源不足が生じることから、財政調整基金の取崩しにより、所要の財源を確保したところであります。

 次に、歳出面でありますが、令和6年度は、本市をとりまく様々な課題に対し、全ての分野でベースとなる「人づくり」を着実に推進し、若者から高齢者まであらゆる世代がいわきに魅力を感じ、いわきを誇りに思うまちを「人づくり」で実現するため、「人づくり日本一」の実現を目指した政策の推進を基本として予算を編成いたしました。

 具体的には、「次世代を育てる」、「命・暮らしを守る」、「まちの魅力を高める」、「豊かさを創る」の4つの柱に沿った取り組みを推し進めます。また、「市民の利便性向上や業務効率化に向けた行政DXの推進」や「『ちょうどいい水準』に向けた公共施設等の最適化」などの構造改革にも併せて取り組みながら、持続可能な行財政運営の構築につなげることとし、これらに要する経費に、優先的・重点的に予算を配分したところであります。

 この結果、令和6年度一般会計当初予算の総額は、1,4463,528万2千円で、前年度と比べ、1.5%の減となるものであります。

 そのうち「人づくり日本一」の実現を目指した「人づくり投資予算」といたしまして、約17億円を計上しているほか、本市における喫緊の課題である「雨水対策・防災」、「地域交通」、「医師確保」の各重点分野について、政策パッケージとして予算をとりまとめたところであります。

 また、特別会計の総額は、1,0275,852万7千円で、競輪事業における、日本選手権競輪開催経費の皆増に伴う経費の増などにより、前年度と比べ、6.7%の増となり、企業会計の総額は、6648,918万3千円で、病院事業における患者数の増等に伴う材料費の増などにより、前年度と比べ、0.9%の増となるものであります。

 

 続きまして、市政を取り巻く諸問題についてです。

 初めに、令和6年能登半島地震に対する本市の支援について申し上げます。

 この地震による2月8日時点の被害状況については、死者241人、負傷者1,291人、住家被害は41,479棟にのぼり、今なお、13,000人を超える方が厳しい環境の中で、長期の避難生活を強いられている状況にあります。

 改めて、亡くなられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々及び被災者の方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。

 今回の災害に対する本市の対応といたしましては、発災直後から国や県及び被災自治体と連絡をとり、被害状況や必要な支援等について情報収集を行いました。

 また、1月6日に医療センターの災害派遣医療チーム、DMATを輪島市へ派遣したことを皮切りに、応急給水活動、住家等被害認定調査、災害廃棄物の処理業務、被災者の健康管理や衛生管理業務等に対し、2月8日時点までで、合わせて29人の職員を派遣しました。

 また、大型トイレカーを珠洲市の避難所に派遣し、被災者の衛生環境の改善を図っているほか、被災された方々を支援するため募金箱を市内29か所に設置し、義援金を募っています。

 今後におきましても、被災地域のニーズ等を的確に把握しながら、一日も早い復旧・復興に向け、積極的に支援を行っていきます。

 

 次に、スマートタウンモデル地区推進事業に係る基本協定の締結について申し上げます。

 本事業は、中央台高久地区の市土地開発公社所有地を拠点に、単なる宅地分譲ではなく、官民共創のもと、ニュータウン全域、さらには市全域が抱える課題の解決を図るため、スマート技術等を活用したモデル的開発を推進するものです。

 本事業の実施に向けましては、令和4年11月より、本事業の基本戦略に即した取組みを実施する民間事業者を募集し、昨年11月1日に、「積水化学工業株式会社を代表企業とする企業グループ」を優先交渉権者として決定しました。

 そして、1月26日には、同企業グループ、市土地開発公社及び市において、本事業の実施体制などを定めた、「いわきスマートタウンモデル地区推進事業に係る基本協定」を締結したところです。

 今後は、地域をはじめとする関係者の皆様に参画いただき、本事業を推進するコンソーシアムを組成し、適宜、意見を伺いながら、具体的なスケジュールも含めた実施計画の策定を進めていきます。

 市では、本事業における取組みが、複雑化する地域課題を解決するモデルとなるよう、引き続き、本事業の具現化に向けて事業者と連携を図りながら、取り組んでいきます。

 

 次に、第15 回いわきサンシャインマラソンについて申し上げます。

 いよいよ第15 回いわきサンシャインマラソンまで残すところあと10 日となりました。

 昨年は、5年ぶりに本大会を開催することができ、全国から6,000 名を超えるランナーの皆様に参加いただきました。

 今年は、本大会が節目の15回目を迎えることから、それを記念するとともに、ランナーや大会に携わる方々が、安全・安心に楽しめる満足度の高い大会として、本市の魅力を市内外に発信するため、シンボルマークとキャッチフレーズを一新しました。

 大会運営にあたっては、医師会や看護協会等の御協力のもと、新たに「医療安全委員会」を設置しました。参加者がより安全・安心にレースを楽しむことができるよう救護体制を見直すなど、運営体制の充実・強化を図りながら、本市を代表するスポーツイベントとして、皆様の記憶に残る大会を目指して準備を進めています。

 ランナーやボランティアスタッフなど大会に関わる全ての方々が「いわきの魅力」や「人の温かさ」に触れ、更なる交流の創出や地域活性化に繋げられるような大会を目指して取り組みます。

 

 私からは以上でありますが、その他の議案並びに予算案の詳細につきましては、両副市長から説明申し上げます。

 いずれも市政執行上、重要な議案を提出しておりますので、何とぞ慎重御審議の上、速やかなる御議決を賜りますようお願い申し上げ、私の提案理由の趣旨説明といたします。

このページに関するお問い合わせ先

総務部 総務課

電話番号: 0246-22-7401 ファクス: 0246-22-3662

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