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『白水阿弥陀堂』(令和2年2月26日市公式Facebook投稿)

問い合わせ番号:15833-9007-3058 更新日:2020年2月26日

いわきの『今むがし』Vol.134

白水阿弥陀堂の文化的価値を調査〔明治35(1902)年頃、いわき市所蔵〕

白水阿弥陀堂の文化的価値を調査〔明治35(1902)年頃、いわき市所蔵〕

 福島県内の建造物で唯一、国宝として昭和27(1952)年3月に指定されたのが白水阿弥陀堂です。
 建造物の様式から、阿弥陀信仰が盛んであった平安時代末期に建築されたと推定されています。釈迦が入滅して1500年を経ると、仏の教えを信じる者が少なくなり世の中が乱れる「末法」の時代に入り、その年が永承7(1052)年であるという、当時流行した末法思想に基づいていました。せめて、阿弥陀さまが住むという西方極楽浄土をこの世に再現して往生したいという願望を込めて浄土式庭園を造ったのです。
 この場所は湯ノ岳から太平洋に向かって延びる、凹を逆にした形状を成す丘陵地と新川(旧白水川)に挟まれた低地にあり、丘陵地・経塚山(きょうづかやま)を借景として西方極楽浄土を拝む姿勢を取ることのできる、熟考された上での場所選定です。
 明治4(1868)年3月、政府の発した祭政一致の方針に基づき、神仏習合を廃した「神仏分離令」の影響で、寺院や仏像などは神社に劣る存在としてみなされるようになり、荒れ放題になっていました。
 しかし、明治維新の混乱が収まると、明治30(1897)年に「古社寺保存法」が施行され、国の調査が進められます。貴重な建物であることが次第に明らかになり、明治36(1903)年から2か年をかけて大規模な修理が行われました。
 堂内の須弥壇(しゅみだん・寺院の仏殿で仏像を安置する檀)には、本尊阿弥陀如来坐像、脇侍(きょうじ・木像の両脇に安置された像)の観世音菩薩と勢至菩薩、木造持国天立像と木造多聞天立像の5体が安置されており、いずれも国指定の重要文化財になっています。
 

上 白水阿弥陀堂とその周囲〔昭和42(1967)年、いわき市撮影〕
下 庭園が復元された阿弥陀堂〔平成時代初期、いわき市撮影〕

2-1 白水阿弥陀堂とその周囲〔昭和42(1967)年、いわき市撮影〕 白水阿弥陀堂を囲う庭園学校の美しい景観に大きく寄与しているのが、堂を囲う庭園です。
 庭園は昭和36(1961)年2月に防災用水池を造成する際、その存在が明らかになりました。
 その後の調査によって、平泉文化と関連が深い浄土式庭園であることが判明し、当時の仏教文化を考えるうえで大変貴重なものと判明しました。昭和41(1966)年9月には、「白水阿弥陀堂境域」として国指定史跡に指定。その境域は東西2町(約220m)、南北3町(約330m)の広さで、内院と外院に分かれていたと考えられ、現在の願成寺はかつて境域に存在していた大坊(だいぼう・系列の末寺の上に立つ寺)が元禄年間(1688-1704)に改称されたものと考えられています。
 この広大な境域の再現には、市が国県の補助を得て、昭和43(1968)年度から境域復元整備事業に着手し、東池、西池などを整備。次いで昭和53(1978)年度に内院整備、さらに外院は昭和57(1982)年度から昭和60(1985)年度まで整備が行われました。さらに周辺を市民の憩いの場とするため、園路広場、植栽、休憩所などを整備し、平成5(1993)年度をもって整備事業は終了しました。
庭園の復元に合わせて、御堂前の中島からの北橋は昭和50(1975)年(昭和29年に一旦建設)に、中島の南側にある南橋(太鼓橋)は昭和51(1976)年に、それぞれ復元され、昭和53(1978)年5月には復元橋の渡り初めが行われました。
 浄土式庭園では池と御堂の間は橋でつなぐのが一般的ですが、「一島二橋」の形式を持つのは珍しい形態です。
 それでも、全体像をみると、まだ完成形とはなっていません。かつてはもっと広く西側に広がっていたと考えられますが、外院の西側には明治時代以降の石炭開発などで移り住んだ家屋が建っているため、まだ完全復元には至っていないのです。
 現在では、阿弥陀堂と池、経塚山一帯の眺望と新緑や紅葉の美しさを求めて、多くの人が訪れています。
(いわき地域学會 小宅幸一)

 

その他の写真

明治36年度から2年かけて修復〔明治38(1905)年頃、『懐郷無限』から引用〕

3 明治36年度から2年かけて修復〔明治38(1905)年頃、『懐郷無限』から引用〕

 

絵はがきになった阿弥陀堂〔明治時代末期、郵便絵はがき「磐城」清光堂発行〕

4 絵はがきになった阿弥陀堂〔明治時代末期、郵便絵はがき「磐城」清光堂発行〕

 

庭園が復元される前の阿弥陀堂〔昭和27(1952)年12月、松本正平氏撮影・松本正夫氏提供〕

5 庭園が復元される前の阿弥陀堂〔昭和27(1952)年12月、松本正平氏撮影・松本正夫氏提供〕

 

白水阿弥陀堂の北橋・池の全容が明らかでない時点での北橋再建(昭和29年、郵便絵はがき「国宝白水阿弥陀堂絵葉書」願成寺発行)

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白水阿弥陀堂内に安置されている木造阿弥陀如来像など5体(昭和40年代、長谷川達雄氏撮影)

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白水阿弥陀堂境域復元事業〔昭和48(1973)年、いわき市撮影〕

8 白水阿弥陀堂境域復元事業〔昭和48(1973)年、いわき市撮影〕

 

北橋付近の発掘調査〔昭和49(1974)年11月、いわき市撮影〕

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白水阿弥陀堂(昭和50年代、沢渡グリーンクラブ)

10 白水阿弥陀堂(昭和50年代、沢渡グリーンクラブ)

 

白水阿弥陀堂(昭和50年、郵便絵はがき「版画 いわき」大竹印刷発行)

11 白水阿弥陀堂(昭和50年、郵便絵はがき「版画 いわき」大竹印刷発行)

 

白水阿弥陀堂橋渡り初め(昭和53年5月、いわき市撮影)

12 白水阿弥陀堂橋渡り初め(昭和53年5月、いわき市撮影)

 

阿弥陀堂の新旧橋〔昭和54(1979)年2月、いわき市撮影〕

13 阿弥陀堂の新旧橋〔昭和54(1979)年2月、いわき市撮影〕

 

経塚山を借景として建築された御堂と庭園〔昭和55(1980)年、いわき市撮影〕

14 経塚山を借景として建築された御堂と庭園〔昭和55(1980)年、いわき市撮影〕

 

秋の白水阿弥陀堂〔昭和61(1986)年、いわき市撮影〕

15 秋の白水阿弥陀堂〔昭和61(1986)年、いわき市撮影〕

 

白水阿弥陀堂をやや南側から見る(平成時代、いわき市撮影)

16 白水阿弥陀堂をやや南側から見る(平成時代、いわき市撮影)

 

白水阿弥陀堂の元朝祈祷(平成10年1月、いわき市撮影)

17 白水阿弥陀堂の元朝祈祷(平成10年1月、いわき市撮影)

 

白水阿弥陀堂の雪景色(平成14年12月、いわき市撮影)

18 白水阿弥陀堂の雪景色(平成14年12月、いわき市撮影)

 

白水阿弥陀堂の橋上の人とハクチョウ(平成19年11月、いわき市)

19 白水阿弥陀堂の橋上の人とハクチョウ(平成19年11月、いわき市)

 

白水阿弥陀堂・文化財防火デー(平成25年1月、いわき市撮影)

20 白水阿弥陀堂・文化財防火デー(平成25年1月、いわき市撮影)

 

白水阿弥陀堂の古代ハス(平成28年7月、いわき市撮影)

21 白水阿弥陀堂の古代ハス(平成28年7月、いわき市撮影)

 

白水阿弥陀堂の秋(平成28年11月、いわき市撮影)

22 白水阿弥陀堂の秋(平成28年11月、いわき市撮影)

 

紅葉時のライトアップ〔平成29(2017)年11月、いわき市撮影〕

23 紅葉時のライトアップ〔平成29(2017)年11月、いわき市撮影〕

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