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『湯本駅周辺3』(平成27年6月10日市公式Facebook投稿)

問い合わせ番号:14551-8466-6892 更新日:2015年6月10日

【いわきの『今むがし』 Vol.24】

【南側から見た湯本駅 〔昭和20年代〕】

昭和20年代の湯本駅

 江戸時代末期に発見された石炭は、明治時代に入り、政府が目指す殖産興業の発展にとって不可欠なエネルギー源として認知されるようになり、石炭の輸送手段の向上が練られるようになります。
 最初は陸上を馬で、その先を海上輸送に頼っていましたが、陸上の大量輸送ができないうえに海難事故に遭う可能性が高いことから、鉄道によって一大消費地である東京と結ぶことが検討されました。
 敷設免許を得た半官半民の日本鉄道株式会社は明治27年(1894年)に水戸-平(現いわき)の工事に着工。明治30年(1897年)2月には竣工するという異例の早さでした。しかも、同年8月には石炭輸送量の多い平‐湯本を複線としました。

 

【湯本駅構内東側に並んでいた側線は撤去され、その後にパーク・アンド・ライドおよび一般の駐車場が設置 〔平成27年(2015年)4月 いわき市撮影〕】

平成27年4月の湯本駅東側

 鉄道が開通すると、湯本駅からは炭鉱までの専用鉄道が敷設され、湯本周辺で産出する石炭が駅を通して東日本を中心に運ばれるようになりました。
 大正10年(1921年)における発送高は約29万7,000tでしたが、昭和2年(1927年)には、約43万6,000t、さらに昭和10年(1935年)度には約58万1,000tに達し、常磐線内においては常に隣の綴(現内郷)駅に次ぐ貨物収入をあげ、しかも発送貨物量の9割が石炭で占められていました。
 ちなみに、大正13年(1924年)における全国の貨物発送状況をみると、綴(現内郷)駅には及びませんでしたが、湯本駅は発送トン数で約35万tと東日本で7位、収入では約111万円と11位でした。
 以後、湯本駅は温泉を利用する乗降客を扱う駅というよりも石炭発送駅として、全国に名が知られるようになりました。 

 

【湯本駅側線の点検(昭和30年代、長谷川達雄氏撮影)】

昭和30年代の湯本駅 昭和20年代末になると、大手の常磐炭鉱は石炭を地下から地上に揚げる場所となる坑口の集約化を図るようになり、しかも、昭和30年代になると、坑口を内郷地区から湯本地区に移行するようになります。つまり、湯本と内郷の地下で採掘された石炭が湯本の坑口、最終的には1か所に集約され、そこから専用鉄道を通じて、湯本駅から貨物輸送されるようになるのです。
 こうなると、内郷駅の貨物取扱量は減少し、湯本駅の貨物取扱量が増加していくことになります。 昭和31年(1956年)度における貨物取扱収入(水戸鉄道管理局管内)では、湯本駅が1位、2位が日立駅、3位が内郷駅と続き、湯本駅は全国でも10位でした。
 昭和33年(1958年)度における貨物発送量は約122万7,000tで約6万両の貨車。これは1日当たり貨車約165両の貨物が発送されたことになります。しかも、貨物発送の95%が石炭の輸送でした。
 この貨物量の増加のため、昭和34年(1959年)には、側線1本を増設するために、国道6号や湯本川を移動させるほどでした。

 

【湯本駅構内(昭和42年2月、いわき市撮影)】

昭和42年2月の湯本駅構内 昭和36年(1961年)度の福島県内貨物取扱量をみると、貨物発送量で湯本駅は148万1,070tと、2位の四ツ倉駅(52万6,553t)、3位の内郷駅(47万4,456t)を大きく引き離して断トツの1位でした。
 しかし、常磐炭鉱磐城鉱が昭和46年(1971年)に閉山となり、さらに昭和51年(1976年)に常磐炭鉱西部鉱が閉山となって、湯本駅から石炭が運ばれることはなくなりました。その後、化学工場などの貨物を取り扱いましたが、往年に比べると微々たるものでした。
 こうして、湯本駅では昭和62年(1987年)における国鉄からJR会社への移行に伴って、貨物取り扱いが廃止されました。

 

【湯本駅を東側から見る・駅人道橋設置予定ルート(昭和45年5月、いわき市撮影)】

昭和45年5月の湯本駅 廃止後も、錆びた側線が駅東側構内に並んでいましたが、その土地の新たな活用方法として、マイカーを駅に止め、電車に乗り換えてもらう「パーク・アンド・ライド」駐車場が検討されました。
 遠距離切符の往復券を購入した人は無料で使用できるシステムで、JR東日本水戸支社が平成11年(1999年)10月に開場しました。市内ではいわき駅、泉駅に次いで3か所目。かつて多くの貨車をさばいてきた場所だけに、190台(現140台)駐車と市内では最も多く収容可能なスペースとなりました。
 今、側線のあった駅構内を見ても、かつての繁栄は容易によみがえってきません。でも、写真で往時をたどることができる分、歴史に立ち会うことができる思いがけない幸運をじっくり味わうべきなのかもしれません。

 

その他の写真

【湯本駅構内と湯本川(昭和51年4月、いわき市撮影)】

昭和51年4月の湯本駅構内

お問い合わせ

総合政策部 ふるさと発信課
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ファクス番号:0246-22-7469