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『蟹洗海岸・四倉町六丁目』(平成29年12月27日市公式Facebook投稿)

問い合わせ番号:15142-5422-9754 更新日:2017年12月27日

いわきの『今むがし』Vol.85

長い間遊休地が大きく広がっていた蟹洗海岸の埋立地〔昭和52(1977)年10月、いわき民報社撮影〕

20181227-1 四倉海岸を概観すると、北の波立海岸から四倉・蟹洗海岸までは磯浜になっていますが、ここから南方は沼之内まで砂浜海岸が続いており、大きく二つに形態が変化していることがわかります。
 蟹洗は、地元の人々には「ガニアラエ」とよばれていました。昔、武将がここで泥で汚れたカニを磯で洗ってやったから、あるいは磯のカニを洗うような波がたえず打ち寄せていたから、または近くの鉱山から採れる鉱物を洗ったことから「金あらい」と呼ばれ、これが転用されたなど、諸説あります。
 蟹洗海岸の北側に位置する滝の御前稲荷神社は風浪で常に浸食されるこのあたりを守るために建立されたもので、背後の山は「大崩れ山」とも呼ばれるほどで、海食崖が海になだれ込み、踏み入れることの困難な場所でした。
 蟹洗海岸の北側に位置する江之網に行くにも、市街から浜街道の太夫坂を越えて、陸側からたどるのがやっとでした。
 このため、長い間、四倉町と久之浜町の町境も確定されなかったほどでした。
 磯浜には牛磯と呼ばれる岩があり、大波のたびにゴロンゴロンと動き、そのたびに町境も変わったと伝えられています。それでも、風光明媚な海岸として、夏を中心に人々が涼を求めて訪れ、絵はがきシリーズにも蟹洗海岸が加えられ、PRされました。
 蟹洗海岸の南、砂浜に四倉漁港が設けられましたが、漁業が盛んになるにつれて、磯浜と砂浜を組み合わせて築港が進み、漁港区が拡張。海岸も埋め立てられて、魚市場などの付帯施設が設置されました。
 蟹洗海岸も埋め立てられ、漁業施設が建てられました。戦中・戦後は日東製塩工場が建てられましたが、塩が専売制となって廃止。その後は、水族館や子ども遊園地など、さまざまな誘客施設の計画が持ち上がりましたが、実現しませんでした。
 蟹洗海岸の環境が大きく変わったのは、新しい道路の開通でした。それまで、四倉市街から久之浜へ抜ける国道6号は、難所の太夫坂を越えるという、丘陵地上をたどるものであったうえに道路は曲がりくねっていて狭かったことから、昭和31(1956)年5月に四倉港から江之網隧道までの海岸道路が開通、さらに昭和38(1963)年には波立海岸先まで舗装開通(昭和54年に4車線化)し、国道6号となりました。
 この道路開通に併せて、国土調査事業が実施され、蟹洗海岸付近の新町(しんまち)、字戸ノ内(とのうち)、字志津(しづ)の一部の字名は、新たに字六丁目となりました。

温泉保養施設が建つ蟹洗海岸・右は久之浜バイパス、左は旧道〔平成29(2017)年12月、いわき市撮影〕

20171227-2 便利になった蟹洗海岸の遊休地へ新たな施設建設が検討されるようになったのは、昭和50年代に入ってからでした。
 北部太平洋旋網(まきあみ)漁業協同組合が魚粉加工の事業場適地を探していたのに応じて、四倉町商工会や観光協会などが蟹洗海岸の遊休地活用に応じました。昭和53(1978)年4月、「いわきフィッシュミール工場」として稼働しましたが、公害問題や遠洋漁業の衰退によって採算が取れず閉鎖されてしまいます。
 この跡地に進出したのが、温泉を利用した健康保養施設でした。いわきの地下には「化石海水」と呼ばれる、地殻変動で海水が閉じ込められた構造が確認されています。このため、長年の化学変化と熱作用、断層などによって温泉の分布の状況は変化します。ボーリングによって、温泉に当たり得ますが、どの程度掘れば温泉と当たるのか判断が難しく、したがって資本力がないと容易に掘り当てることが難しいのです。
 ボーリングで温泉を掘り当てた会社は、平成8(1996)年7月、「太平洋健康センター いわき蟹洗温泉」として整備。蟹洗海岸は新たな趣きを見せることになりました。
 平成23(2011)年3月に発生した東日本大震災の津波では、海岸に接する同温泉施設も大きな破損を被り、さらに放射線被害の風評も広がりました。関係者の努力で営業再開にこぎつけたのは、平成25(2013)年7月でした。
 交通量の増加で危険視されていた、蟹洗海岸から北の磯浜を縫うようにカーブとトンネルで抜けていた国道の隘路を避けるため、平成29(2017)年2月には、国道6号久之浜バイパスが完成しました。久之浜から内陸の丘陵地を通り、四倉へ向かう下り坂道からは、今までとは趣きの異なる、新しい蟹洗海岸を眺望することができます。
(地域学會 小宅幸一) 

その他の写真

震災直後、久之浜町田之網字江之網の国道6号と同バイパス建設を北側から見る(平成23年3月30日、佐川紘一氏撮影)

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「磐城四倉海岸風景」四倉海岸・潮声館(明治時代末期、清光堂支店)

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「磐城名勝絵はがき」四倉蟹洗海岸(大正時代、佐々木商店)

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蟹洗海岸 〔1.50,000地形図 平(昭和8年要部修正測図)〕

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