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『小川郷駅』(平成29年9月13日市公式Facebook投稿)

更新日:2017年9月13日

いわきの『今むがし』Vol.78

小川郷駅ホームの駅名表示板(昭和10年頃、川口良子氏所蔵、国府田英二氏提供)

20170913-1 以前、小川郷駅前の自転車駐車場および小川郷駅前の広場を取り上げましたが、今回は小川郷駅です。
 磐越東線小川郷駅は大正4(1915)年7月、平-小川郷が平郡東線(へいぐんとうせん)として開通した際に、駅が開設されたのが始まりでした。大正6(1917)年10月には、平-郡山が全通して磐越東線となりました。
 開業当時の駅表示板をみると、「をがはがう」と書かれています。建設当時の仮称は「西小川」でしたが、実際に設置されたのは、赤井村大字高萩地内でした。明治45(1912)年6月22日付『いはらき』では「高萩の地内に入り、2チェーン(約40m)のところで直ぐ小川停車場が出来る。即ち赤井村地内には停車場が二つ出来ることになる。小川停車場の構内は26チェーン(約520m)の長さになる。此の停車場の名称は高萩とするのが至当であるけれども本線(常磐線)に同一駅があるので小川の名称をしたのである」と報道されています。
 赤井村に駅が2か所となることもあって、建設当初は夏井川対岸の上小川に設置する予定でしたが、炭鉱会社の資金提供があって現在地となったという古老の話が伝聞としてあります。 福島炭礦(大正8年にはピークの25万8,000tを生産。一時期は、常磐炭田の5大炭礦と呼称)が大正5 (1916)年に開業しており、関連性が推測されますが、明らかではありません。
 最終的に、駅名は「小川郷」となりました。この命名は、他に「小川」という駅が複数あって紛らわしいこと、この地域が小川八ケ荘、あるいは小川八カ郷と呼称され、その中心に位置していること、とされています。
 小川郷駅の特徴がいくつかあります。
 一つとしては、夏井川と小玉川、川に挟まれた駅で、しかも貨物扱いの駅は他にあまり例がありません。
 二つとしては、プラットホームと駅舎が地下道で結ばれていることです。国鉄時代、水戸鉄道管理局では唯一でした
 三つとしては、ローマ字で小川郷を書くと、左右どちらからも「OGAWAGO」です。

(上)小川郷駅ホームの駅名表示板 -駅の背後には、岡本理研ゴムの工場が見えます-〔昭和41(1966)年 国府田英二氏提供〕
(下)小川郷駅ホームの駅名表示板〔平成26(2014)年1月、国府田英二氏撮影〕

20170913-2 昭和20年代から40年代にかけて、磐越東線は旅客だけでなく、小川郷駅では粘土(頁岩)や石炭などの貨物などの輸送で、ピークを迎えました。昭和34(1959)年9月、準急気動車「いわき」を水戸-仙台(後に、急行化)で開通し、小川郷駅が停車駅となりました。
 しかし、自動車輸送が普及していくと、鉄道輸送は斜陽化を迎えます。昭和57(1982)年11月、急行「いわき」は快速に格下げされ、昭和60(1985)年3月のダイヤ改正で廃止されました。
 昭和44(1969)年10月、手荷物および小荷物の配達取り扱いが廃止されたのを皮切りに、昭和49(1974)年10月、粘土(頁岩)などの専用車以外の貨物取り扱いが廃止。昭和60(1985)年7月には、すべての貨物取り扱いが廃止されてしまいます。
 赤字体質の国鉄が解散され、昭和62(1987)年4月にJR東日本へ移管すると、合理化の一環として、平成元(1989)年3月、磐越東線のCTC化に伴い、無人駅となってしまいます。
 こうした状況を打開し、小川郷駅を見直そうと、「小川郷の駅を明るく会」が結成されたのは、平成5(1993)年5月でした。定期的な駅清掃やイベント「エンジョイ小川郷駅」を開催する一方、小川地域振興協議会が平成7(1995)年4月、駅地下道に地元小中学生が描いた壁画や草野心平氏が書いた「小川の歌」のパネルを展示しました。さらには、平成11(1999)年、駅待合室に「図書コーナー」を開設しました。
 こうした駅活性化の活動は地区全体に広がるようになったことから、平成19(2007)年6月に「小川郷(さと)の会」へ改称され、同会の一つとして「駅活性化委員会」が設置されて、駅周辺の盛り上げを継続していきます。
 以来、駅開設の周年祝賀事業開催はもちろん、七夕飾り、門松飾り、イルミネーション点灯など、節目の催しで駅庁舎を中心とした地域住民の交流が繰り広げられています。
 古い駅舎を中心とした地域活性化は、地域の拠点が真新しいことではなく、どれだけ思いが受け継がれるかであり、その過程で、古さが新しさを呼ぶ可能性があることを示しています

 (いわき地域学會 小宅幸一)

 その他の写真

小川郷駅構内図(昭和32年頃)

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小川郷駅のホームと子どもたち(昭和46年12月、いわき市撮影)

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小川郷駅の改札口(昭和46年12月、いわき市撮影)

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小川郷駅ホーム(平成2年1月、いわき市撮影)

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小川郷駅・階段の絵画(平成12年11月、いわき市撮影)

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小川郷駅の待合室(平成28年9月、いわきジャーナル撮影)

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電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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