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その23 『市の木「くろまつ」はこうして決まりました(1)』(平成28年3月16日市公式Facebook投稿)

登録日:2016年3月16日

「市の木「くろまつ」はこうして決まりました(1)」

 市の木「くろまつ」は、市制施行5周年を記念して制定されました。今回から2回シリーズで、その制定過程などを振り返りたいと思います。
(※いわき市の木について定めた、いわき市告示第465号では「いわき市の木を次のように定める。くろまつ」と、ひらがな表記ですが、本文中で樹木の種類として取り上げる際などは、「クロマツ」とカタカナ表記にしています。)

市役所本庁舎南側に植えられたクロマツ(平成28年3月、いわき市撮影)

 市の木制定については、昭和46年10月の市制施行5周年に向けて、同年3月ごろから準備が開始されました。
 昭和46年5月からは、候補樹木の本格的な調査が始まり、6月に候補となる木が、常緑樹と落葉樹それぞれ10種ずつ、合計20種選ばれました。

 昭和46年7月12日、市は「市の木選定委員会」を発足させ、第1回会議を開きます。委員は、市内各界の有識者10名、市議会議員2名、市職員6名の合計18人で、委員長には、市教育委員会委員長の松本久吉氏が選ばれました。
 第1回会議では、主に選定方法について活発な議論が交わされました。
 方法には2案あり、1つ目の案は、委員会で選定した候補木に市民投票を行って委員会で最終決定する「限定公募方式」、2つ目の案は、候補を用意せず市民から広く希望を募集して決定するという「完全公募方式」でした。
 委員間では、「市民参加を最優先すべき」と完全公募を推す声と、「街路樹や庭木にする目的から、条件に合った候補が必要」と選定の妥当性から限定公募を推す声とに意見が分かれました。議論の結果、委員会で推薦する10種類を候補木とし、その他にもふさわしいと思う木があれば応募できるという折衷案にまとまりました。
 また、次回の会議までに各委員が候補木を10種、市の事前調査を参考に選んで持ち寄ることなどが決まりました。

 第2回会議は、第1回会議から5日後という大急ぎのスケジュールで、昭和46年7月17日に開きました。
 各委員が持ち寄った候補木の案は合計45種で、投票形式で集計された結果、上位10種が委員会の候補木として決まりました。(1)イチョウ、(2)エンジュ、(3)カヤ、(4)クロマツ、(5)サザンカ、(6)シイ、(7)ツゲ、(8)モチノキ、(9)モミジ、(10)ヤマザクラ(五十音順)。
 また、応募者の中から抽選で、記念品と決定した市の木を贈呈することや、5周年記念式典の発表時には植樹を行うことなどが決定しました。

市の木応募用紙(昭和46年7月、いわき市) 昭和46年7月29日、返信はがきが刷り込まれた応募用紙が市内全世帯に配布され、公募が始まりました。応募用紙には、候補木10種が記載されていて、1点を選んで○で囲むか、候補木の中に適当なものがない場合は、推薦する木の名前とその理由を記入する欄が設けられました。1人1点の応募が可能で、応募用紙から切り取ったはがきに7円切手を貼って投函するか、支所に届けるということになっていました。

 昭和46年8月20日の公募締切まで、8,089通の応募がありました。集計結果は、次の通りでした。<1位>イチョウ=1,656票、<2位>クロマツ=1,583票、<3位>ヤマザクラ=997票、<4位>サザンカ=828票、<5位>モミジ=817票、<6位>ツゲ=585票、<7位>モチノキ=506票、<8位>エンジュ=433票、<9位>カヤ=292票、<10位>シイ=250票。
 候補木の他に推薦する木として117件、55種の意見が寄せられ、アセビ=11票、メタセコイヤ=8票、キンモクセイ=7票、ネムノキ=7票、ヤナギ=6票……などとなりました。

 昭和46年8月26日、第3回会議を開き、選定委員に公募の集計結果が報告されました。その後、上位3種の候補木を対象に、最終決定に向けた審議が行われました。出席した14名の委員が一人ずつ自分の推薦する木とその理由を述べ終わると、結果は、クロマツが12票、イチョウが2票、ヤマザクラが0票となり、市の木はクロマツに決定しました。審議のすぐ後、松本委員長が大和田弥一市長に、その旨を答申しました。
 当時の議事録からは、多くの委員が、クロマツかイチョウかの2択に悩んでいたことが読み取れます。クロマツに多くの支持が集まった理由として、委員からは「白砂青松のいわき七浜にふさわしい」、「浜街道の松並木など歴史的な意義がある」、「百木の長である」、「成長力が強く縁起が良い」などの意見がありました。一方、イチョウについては、「落葉で(掃除の)労働力がたいへん」、「大きくなりすぎ(手入れに)困る」など、制定後のことを考えた意見が出されました。

 第3回会議では、クロマツに投票した市民の中から100名に記念品を贈呈するための抽選も行われました。市長が2名、14名の委員が7名ずつ選んだ結果を13地区在住別に分類すると田人地区の該当者がなかったことから、全地区もれなく当選者が出るように1名を加えました。こうして合計101名の当選者も決定し、いよいよ市の木発表への準備が始まっていきます。

 次回は、市の木発表の様子について振り返ります。お楽しみに♪

その他の写真

 撫順市友好都市締結記念クロマツの植樹(昭和57年4月、いわき市撮影)

本庁舎北側に植えられていたクロマツのマツこぶ病治療(昭和58年3月、いわき市撮影)

 平中央公園内・撫順市友好都市締結記念植樹クロマツの現在の姿(平成28年3月、いわき市撮影)

市役所本庁舎北側・市道街路樹のクロマツ(平成28年3月、いわき市撮影)

 〔担当〕市制施行50周年記念誌プロジェクト

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総合政策部 広報広聴課

電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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