令和6年5月14日 教育長だより Vol.30 『学校のこだわりポイント』
更新日:2024年5月14日
最近、ある方から指摘されました。
「○○中学校は50年だって。古すぎないかしら?」
私「まだまだ若い方です。本市には60年物もたくさんあるんですよ。」
何の話かといえば、学校施設(校舎・体育館)の「建築年数」のことです。
かつての児童生徒急増期(昭和40~50年代)に建てられた学校施設が、現在更新時期を迎えており、これらの整備が全国的な課題となっています(学校に限らず、あらゆる社会インフラの課題ですが)。
本市の小中学校でも、この時期に建てられた校舎や体育館がたくさんあります。
そして、どこも年季が入っています・・・
ただ、よーく見ると建築時には相当こだわって建てられていることがわかります。
今回は、そんな〈こだわりポイント〉をいくつか紹介します(※)。
※私の主観で選んでいますことご了承ください
まずは四倉小学校から。
ところどころ外壁の剥落が見られ、さすがに傷みが進んでいますが、校舎の中にはたくさんの〈こだわり〉が見られます。
中でも特筆すべきは2階の礼法室。
学校の中で、しかもこれだけの広さの和室は、建築された当時も今も非常に珍しいものです。
礼法室の畳の縁をよーく見てみると、カニ、エビ、イカ、フグ、カツオ・・・と様々な
海洋生物が描かれています。漁業で栄えた町の〈こだわり〉が感じられます。
ちなみに四倉小の校長室はかなり狭いです。
限られた中で礼法室のスペースを確保するため、校長室が小さくなったのかもしれませんね。
次は内郷第二中学校です。
新制中学の発足時に、常磐炭礦株式会社(現・常磐興産)の施設を借り受けて設立した中学校です。
最盛期には、生徒数が1600人を超えるほどのマンモス校だったそうです。
現在の校舎外観
完成当時の校舎写真(昭和42年)
この学校で気になったところは校舎内部の階段部分です。
採光に配慮されており、長めの階段と相まってレトロな雰囲気がします。
質素だけどオシャレな空間だと思います。
三校目は小名浜第一小学校。
大きく「ロの字型」の校舎になっており、中庭のスペースが広くとられています。
階段の“壁画”は、海の中に潜っている感じがして楽しい気持ちになります。
一番気になったのは、そそり立つような形をした階段の手すりです。
機能的に必要ない形だと思うのですが、迫力があります。
2階昇降口への外階段、ここもそそり立つデザインになっています。
なんだか“上を目指す力強さ”を感じます。
いかがでしょうか?
学校の校舎って同じように見えて、それぞれに特徴がありますよね。
この3校の校舎はいずれも約60年前に設計・建築されました。
60年前といえば、5市9町村が合併して本市が誕生する少し前です。
大合併を控えた時期に造られた校舎だと言えます。
そうして見ると、なんだか地域の誇りのような強い思いが込められているように感じられます。
年代を問わず、どの小中学校にも〈こだわり〉が込められていると思いますので、学校の中を見る機会がありましたら是非探してみてください。
最後にもう少し時代をさかのぼります。
紹介するのは平第六小学校です。この学校の校舎も60年前に建てられています。
現在の平六小校舎(平成10年に大規模改修を施し、内外装ともきれいな状態です)
この学校で気になったのは、廊下に飾られていた写真です。
昭和40年頃まで使われていた木造校舎の上棟式に撮ったようです。
撮影時期は大正13年(1924年)とあるので、ちょうど100年前の出来事です。
この写真、前列に並んでいるのは地元の有力者や学校関係者の人達でしょうか。
鳶職の方が堂々とポーズをとっててカッコいいです(どうだ!って感じがします)。
学校を造ることがいかに地域の誇りだったのかが感じられる写真です。
この木造校舎が使われた後、現在の鉄筋コンクリートの校舎に建て替えられました。
学校の校舎は、地域の人々の思いを受け継ぎながら数十年単位で建て替えられてきました。
60年前のこだわりや一世紀前の写真を見ていると、今の我々は次の時代に何を残していけるのか、問われているような気がします。
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