コンテンツにジャンプ

『植田町台町(うえだパティオ通り)』(令和2年1月15日市公式Facebook投稿)

登録日:2020年1月15日

いわきの『今むがし』Vol.132

台町通り〔昭和44(1969)年12月、いわき市撮影〕

台町通り〔昭和44(1969)年12月、いわき市撮影〕

 江戸時代、植田の本町通りには宿場が置かれ、台町はその北側の直角に折れた先に位置していました。長い間、本町通りを補完するような存在で道幅も狭く、家もまばらでした。
 明治時代に入り、明治30(1897)年2月に台町の外れ、八幡台の丘陵地を一部崩して日本鉄道磐城線(現常磐線)植田駅が開設すると、駅前には集落が建ち並び、台町通りは駅と本町通りを結ぶ重要な通りとなりました。しかし、大正時代末期、自動車が登場すると、通りの狭さが目立つようになります。
 昭和30(1955)年頃には、駅と往来する鮮魚、石炭の輸送が増え、自動車往来は1日500台に達しました。しかし通りは幅員6.5mと狭く、バスやトラックなどは沿道の家屋軒下すれすれを通るため交通渋滞を引き起こし、ひさしや看板を擦る事故が幾度も発生しました。
 昭和38(1963)年には、JR植田駅周辺の商店約70店が「植田新興商店会」を設立し、商業環境の結束を図るとともに、台町通りの拡張をめざしていきます。
 この間、高度経済成長で商店街は著しく発展しましたが、車社会の到来により、手狭な植田市街地の道路は機能しなくなりました。加えて、駅前商店街と本町商店街が連携を図ることが必要とされていたことから、全面的な都市改造が急がれました。
 植田駅前を中心として総面積23.64haを対象に「植田第二土地区画整理・植田駅前都市改造事業」が決定したのは、昭和40(1965) 年12月のことでした。旧国道6号から植田駅に通じる台町通りの拡張も計画に盛り込まれ、事業の目玉の一つとなりました。
 

上 台町通りの拡張〔昭和50(1975)年頃、佐藤信夫氏撮影〕
下 台町通りの拡張〔昭和51(1976)年2月、いわき市撮影〕

2-1 台町通りの拡張〔昭和50(1975)年頃、佐藤信夫氏撮影〕 計画には、駅前から続く台町通りを幅員18mへ拡張する内容が盛り込まれました。
 植田市街の密集地を都市改造するには、大変な困難が伴いました。道路や駅前広場を拡帳するための用地を確保する一方で、市街のどこかに空地を生み出さなければなりません。この交渉には関係者の粘り強い努力がありました。
 建ち並んでいた商店では、地権者、借地人、借家人の権利問題などが事業を停滞させました。公共施設(警察署、営林署、小学校)や寺院(常春院)などの移転地確保も、時間がかかる要因となりました。特に、寺院には先祖代々の墓地があり、関係者の同意が必要です。
 一方で、駅前近くの新しい通りには、植田町商店街有志で組織した「協同組合・植田町ショッピングセンター」が5階建てのビルを建て、イトーヨーカ堂植田店を誘致し、昭和50(1975)年4月にオープンしました。                                          
 完成後、植田ショッピングセンター周辺には次々と専門店が軒を連ね、新しい商店街が誕生しました。道路に沿って中央一~三丁目に区割りされ、街並みが一新したことで、台町の地名は消えました。
 「台町通り」の名称も平成11(1999)年10月、街路灯設置・電線類地下埋設(キャブシステム)事業の完成時に、公募により「うえだパティオ通り」の愛称が付けられましたが、定着したとは言いがたい状況にあるといえます。
 植田商店街の象徴の一つであった植田ショッピングセンターが平成20 (2008)年に閉店となったことは、植田商店街の苦境の表われとみることができます。その後、しばらく更地となっていましたが、商業施設や住宅などの跡地利用がようやく決まったのは、平成25(2013)年のことでした。
(いわき地域学會 小宅幸一)

 

その他の写真

菊多名所絵葉書・植田町台町通り(昭和10年頃)

菊多名所絵葉書・植田町台町通り(昭和10年頃)

 

植田駅前都市改造竣工(昭和53年5月5日、いわき市所蔵)

植田駅前都市改造竣工(昭和53年5月5日、いわき市所蔵)

 

植田町の「うえだパティオ通り」(キャブシステムが施工)が開通(平成11年10月、いわき民報社撮影)

植田町の「うえだパティオ通り」(キャブシステムが施工)が開通(平成11年10月、いわき民報社撮影)

 

植田パティオ通り〔平成18(2006)年3月、いわき市撮影〕

植田パティオ通り〔平成18(2006)年3月、いわき市撮影〕

 

第28回うえだパティオ通り歩行者天国の露天(平成24年10月、いわき市撮影)

第28回うえだパティオ通り歩行者天国の露天(平成24年10月、いわき市撮影)

このページに関するお問い合わせ先

総合政策部 広報広聴課

電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

このページを見ている人はこんなページも見ています

    このページに関するアンケート

    このページの情報は役に立ちましたか?