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『平字番匠町(いわき駅北口)』(平成30年11月28日市公式Facebook投稿)

更新日:2018年11月28日

いわきの『今むがし』Vol.107

(上)平(現いわき)駅周辺を南方上空から見る・中央の馬蹄形の建物は平機関庫〔昭和10(1935)年頃、白土貢氏提供〕
(下)物見ケ岡から見る平機関区機関車〔昭和32(1957)年、宇田恒雄氏撮影〕

01 蒸気機関車が全盛の時代、運転関係の現業機関の一つとして車両検修基地および動力車乗務員基地として、路線に沿っておおむね100km前後の間隔で、機関車を配置する機関区が設けられていました。
 これは蒸気機関車が、大量の水と燃料の石炭、さらには車両点検が必要であったことから、長距離列車でも機関車を途中の駅で交換しながら運転していたためでした。したがって、長距離列車ならば、機関区のある主要駅では石炭や水の補給、さらには、機関士の交代が行われました。
 常磐線の場合は、日本鉄道磐城線開通時の明治30(1897)年2月に主要駅の水戸、平、原ノ町に機関区が設けられました。
 上野-仙台のほぼ中間に位置していて、東北本線に比べ勾配が緩やかであることから常磐線経由による長距離優等列車のダイヤ編成も多く、多種多様な機関車が運行していました。
 平機関区は磐越東線の一部が開通したのを機に、それまで城跡下の内堀の埋立地敷地にあった機関庫(昭和11年に機関区)を、大正3(1914)年11月に平字白銀町(面積3,285㎡)に移転改築(後に平字番匠町に改称)し、大正4(1915)年2月から使用開始しました。木造平屋の車庫は2,234㎡で「扇形庫(せんけいこ)」と呼ばれ、27両の機関車を格納することができました。平機関区を上空からみると、プラットホームを底辺として扇形庫を頂点とする三角形を形成しています。三角形の内側には、下り方面の客貨車留置線が並び、扇形庫から本線への出入区線が三角形の二辺を形成するように伸びていました。
 平駅の構内は上下それぞれ7本の入換え線があり、常磐炭田からの石炭車がぎっしり線路を埋めていました。常磐線経由の長距離夜行列車が真夜中に相次いで発着し、貨物列車は時間帯を問わずひっきりなしに機関区にやってきて、24時間作業で対応しました。

(上)いわき駅周辺を南方上空から見る〔平成24(2012)年9月、市立平第二小学校撮影・白土貢氏提供〕
(下)いわき駅北口および駐車場を高みから見る〔平成28(2016)年6月、いわき市撮影〕

02 電化を間近にした昭和42(1967)年7月現在で平機関区に在籍していた蒸気機関車は、C57が2両、C61が1両、C62が12両、8620が7両、9600が6両、D51が8両と、計36両まで減少していました。
 しかも、電化により蒸気機関車の役割は徐々に減っていきます。昭和39 (1964)年1月には8線が廃止・解体されました。さらに、平機関区は新たに完成した内郷操車場を含む内郷機関区に吸収されるカタチで、昭和45(1970)年3月に廃止されました。
 平機関区の象徴であった扇形機関庫は、昭和46(1971)年3月に取り壊されました。
 平機関区の跡地について、市はまず機関区のうち、駅に近い西側を土地取得して、昭和62(1987)年7月、160台分(時間決め、日決め、月決め)の「市鉄北駐車場」を開設。さらに、既設駐車場東隣り(旧機関区の中央部)についても土地取得して、162台分(時間決め、日決め、月決め)を確保して、平成5(1993)年10月に開設しました。
 さらに、残る駅寄りの部分については、平成9(1997)年3月から往復乗車客専用の無料駐車場を設ける「パーク・アンド・ライド」サービス用70台分と一般駐車場120台分が確保され、これで旧機関区のすべてが駐車スペースに改変されました。
 こうして、旧平機関区はすべて駐車場に転用され、機関車がひしめいていた場所は、すっかり様変わりしました。歴史的にみれば機関車から自動車へ、時代の推移を象徴する場所ですが、そのことを知る人も時代の推移とともに少なくなっていきます。 
(いわき地域学會 小宅幸一)

その他の写真

平機関庫転車台付近のc62+c6238ゆうづる(昭41年1月5日、米本健一氏撮影)

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平機関庫(昭和42年10月1日、遠藤啓氏撮影)

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蒸気に煙る平機関区(昭和43年頃 遠藤啓氏撮影)

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平(現いわき)駅構内と平市街東部を物見ケ丘から見る(昭和45年、遠藤啓氏撮影)

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平(現いわき)駅構内と平市街東部を物見ケ丘から見る(昭和52年2月、松本正平氏撮影)

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平(現いわき)駅構内を駅前ビルから見る(平成2年、いわき市撮影)

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平安橋を旧城跡から見る・左(平成8年4月、いわき市撮影)

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いわき駅パーク&ライド駐車場(平成11年9月、いわき市撮影)

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平市街、いわき駅北口駐車場、駅構内を北側から見る(平成15年4月、いわき未来づくりセンター撮影)

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電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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