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『久之浜町田之網字江之網』(平成30年10月24日市公式Facebook投稿)

問い合わせ番号:15402-5296-7710 更新日:2018年10月24日

いわきの『今むがし』Vol.104

(上)江之網漁港(大正時代、郵便絵はがき「磐城久之浜」、青年団)
(下)江之網浜の海岸道路(後の国道、現市道)(昭和20年代、郵便絵はがき「磐城久之浜名勝、二葉写真館)

105-1 四倉町と久之浜町の間、天然の湾に位置する久之浜町田之網字江之網の湾の広さは東西に280m、南北に220mに過ぎませんが、江戸時代には沿岸漁業や米の積み出し湊として米蔵を供え、にぎわいをみせました。
 明治45(1912)年に書かれた『久之浜郷土史』には「海岸は久之浜の東面一帯にわたり、その距離は8kmに達し、その間に、港湾として江之網と舟戸の2港(明治時代以降は「港」と表記)があり、ともに漁港として漁船の出入り頻繁なり」と紹介されています。
 当時、久之浜の港は大久川の河口に位置する砂浜の形状であったため、十分な機能を果たすことができませんでした。また、江之網の北側に位置する岬を隔てた湾に位置している舟戸はさらに狭い入り江でした。江之網の南方に位置する四倉は湾になっていないため波浪の影響を受けやすく、防波堤がない時代には、港としては不十分な地でした。つまり、江之網は築港が成されていない時代には、周辺では唯一な漁港として、また荷物の積み出しもできる天然の良港だったのです。
 明治時代に発行された土木局統計年報にも、全国主要港の欄に福島県の7つの港として、江之網港が掲載されていました。
 昭和5(1930)年7月24日付の新聞『新いわき』では「江之網湾内の海水が去る21日午後から俄(にわ)かに黒色に変ったので、海岸の漁夫連が不思議を感じつつ熟視すると、小鰮(いわし)の群が約5千坪の湾内を埋め立てている嘘の様な事実に吃驚(びっくり)しながら捕獲を始めた」とにぎわいぶりを報じています。
 江之網の場合、後背地が狭く、しかも入り江には磯が広がっていて漁船の大型化に対応できませんでした。整備も行われず、小型船中心の沿岸漁業を細々と続けていくしかなく、久之浜と四倉が漁港としての体裁を次第に整えていくなか、江之網で漁業が営まれていたのは昭和10年代まででした。
 昭和20年代、海岸沿いに国道6号の新道が通じ、昭和25(1950)年3月に湾の付け根に「明神橋」が架かったことによって、完全に港機能の使命を終えました。
 

(上)江之網〔平成30(2018)年10月、いわき市撮影〕
(下)江之網海岸に沿う国道道路(現市道)〔平成30(2018)年10月、いわき市撮影〕

105-2 昭和29(1954)年、四倉と久之浜を結ぶ、新しい国道6号線(現国道6号)が通じました。
そ れまでは、四倉から江之網に行くには、四倉市街の志津から浜街道(文久3年・1863年に一時太夫坂を開削)を曲がりくねりながら一旦坂を上って、湾の背後から道を下って浜にたどり着くか、蟹洗海岸沿いに波しぶきのかかる石道状の隘路(あいろ)をたどるしかなかったのです。海岸沿いの道は近道でしたが、風浪のため何度も波にさらわれて流失し、掘った洞門も崩落してしまう状況でした。
 このため、安全な通行を願って、四倉の修練寺の滝の前に、道の守護神・滝の御前稲荷神社を建立しました。
 この神社は、新しい国道の建設で移転。昭和37(1962)年には蟹洗海岸の北側の岩の上に再建されました。
 国道が開通したことによって、一帯は大きく変わりました。波立海岸沿いを通ることになり、海を間近に感じることのできる湾岸道路として、また観光の目玉として脚光を浴びるようになり、まもなく道路が舗装されると快適なハイウェーコースとなりました。
 しかし、その一方で、自動車の増加や大型化によって、カーブとトンネルが連続する湾岸道路は、騒音と相まって危険と隣り合わせの道路に変わっていきました。江之網の集落に住む人々にとっても、とても海を感じることができない生活環境に変容していきました。
 こうした状況を解消するため、道路の拡幅や改良などが困難な久之浜市街や波立海岸、江之網海岸を迂回する国道6号久之浜バイパスが平成29(2017)年2月に全通しました。これによって、多くの自動車がバイパスを経由。江之網は眼前に道路はあるものの、静かな生活を取り戻すことができるようになりました。
(いわき地域学會 小宅幸一)

その他の写真

江之漁港(大正時代、「四倉名所千鳥ケ丘公園」、佐藤写真館)

105-3

江之網港(大正時代、郵便絵はがき「久ノ浜風景」、文化堂)

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江之網港(大正時代、郵便絵はがき「磐城名所絵葉書、佐々木商店)

 105-5

江之網港(昭和時代初期、郵便絵はがき「久ノ浜名所」)

 105-6

江之網港(昭和10年頃、郵便絵はがき「常磐線四倉」)

105-7

江之網港(昭和10年頃、郵便絵はがき「磐城四倉」 清水屋薬局)

105-8

江之網海岸・国道6号(昭和20年代、郵便絵はがき「磐城久之浜の風光」、四倉観光協会)

105-9

江之網の海岸〔1.50,000地形図 平(明治41年測図)〕

105-10

江之網の海岸〔1.25,000地形図 四倉(平成18年更新)〕

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