その27 『マンモス議会』(平成28年5月20日市公式Facebook投稿)
登録日:2016年5月20日
「初めてのいわき市議会は、『マンモス議会』と呼ばれました!」
昭和41年10月1日のいわき市発足後、いわき市議会が初めて開かれたのは、昭和41年11月です。市町村の合併の特例に関する法律(旧・合併特例法)の規定により、合併前の14市町村の旧議員がそのまま新市の議員となりました。その数は、なんと333名!日本一の「マンモス議会」として話題を集めました。
マンモス議会の運営には、数々のクリアしなければならない問題がありました。まずは、議場です。市発足当時は、市役所本庁舎の位置も決まっておらず、県立平商業高校旧校舎(現在の平中央公園の場所)を仮庁舎として使っていましたが、仮庁舎隣の平市民会館(現在のいわき芸術文化交流館)大ホール(収容数1,770名)が全議員分の席を確保できる仮議場として、使われることになりました。
ただ、平市民会館は、本来の使用目的である行事の開催などがあり、議会のため優先的な取扱いはできなかったので、議会開催の日取りを選定するのはかなりの苦労があったようです。
また、大ホールには机がありませんでしたので、1階客席に一列おきに長テーブルを並べて、にわか議員席をつくりました。上階の客席は傍聴席になりました。ステージ上は、手前中央に演台を置いて議長席にし、周囲にテーブルとイスを並べて副議長席と理事者(説明者として出席する市の担当者)席を設けました。ステージのすぐ下は速記者席になりました(ちなみに、現在の会議録は、速記ではなく録音したものを書き起こす方法でつくられています)。
仮議場の用意の他にも、333名分の資料の印刷が夜通し行われるなど(現在のように便利なコピー機などもない時代です…)、当時の事務局は大騒動だったようで、後の新聞の回顧記事中でも「裏方泣かせ」と表現されました。
昭和41年11月21日、新市の初議会となる「昭和41年11月臨時会」は午前10時5分に開議となり、事務局職員による臨時議長の紹介から始まりました。臨時議長は、地方自治法の規定によって出席議員中の年長者から選ばれることになっていたので、旧平市議会議員で最年長者であった鈴木勇氏(74歳)が務めました。
鈴木臨時議長の進行で、まずは仮議席が指定されました。当日出席の議員は、すでに1階客席の臨時の自席に着席しており、その席が仮議席となりました(出身地区ごとに着席していたようです)。
続いて、初議会の話題を集めていた初代議長選挙が行われました。選挙の方法について、鈴木臨時議長の問いかけに議場から「投票!」の発言があり、出席議員320名による単記無記名投票(議長にふさわしいと思う人1名の名前を書き、投票する自分の名前は書かないこと)が行われた結果、204票を得た志賀季三郎氏(旧平市議会議長)が初代議長に選ばれました。
志賀議長は「私心を捨て、真心を持って議会運営を通し33万市民(の幸せと新市の繁栄)のために最善の努力を捧げてまいりたい」とあいさつしました。志賀議長の進行で次に行われた副議長選挙では、議長選挙同様に単記無記名投票で188票を得た中野豊須美氏(旧遠野町議会議長)が選ばれました。
この11月臨時会は21日のみ1日間の会期で、議長・副議長選挙の他にも、議会規則の制定や委員会委員の選任など、予定されていた議事がありましたが、副議長選挙が終了したこの時点で時刻は午後4時を回ろうとしていました。
実は、初代議長選挙の投票は進行に疑義が生じたことなどを理由に2度行われており、初議会は、冒頭の進行から非常に時間がかかっていました。その結果、1日間で予定されていた会期を延長する必要が生じ、11月24日まで審議が行われ閉会となりました。
マンモス議会の最後部の議員席から議長までの距離は約40メートル!後方の席には照明が届かず、資料がよく読めないなど、参加する議員も会議に身が入らないという状況が少なからずあったようです。また、議員はそれぞれ旧市町村の伝統や慣習、利害を背負っていて、しかも333名の大人数……広域合併後の議会運営の難しさがみえた初議会でした。
333名で議会が構成されたのは、昭和43年9月までの2年間です。同月、市発足後初の市議会議員選挙が行われ、選出された48名体制の新市議会に10月1日からバトンタッチされました。
市制施行50周年の今年、マンモス議会の議員とそれを支えた事務局に敬意を表して当時の会議録を読んでみるのもオススメです。
その他の写真
<参考文献>
いわき市議会(1991)『いわき市議会25年のあゆみ』、いわき市議会25年のあゆみ編さん委員会
いわき市議会については、こちら。
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/genre/1000100000384/index.html
〔担当〕市制施行50周年記念誌プロジェクト
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