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その22 『市民憲章は、こうして生まれました(2)』(平成28年3月2日市公式Facebook投稿)

登録日:2016年3月2日

「市民憲章は、こうして生まれました(2)」

 前回から、市制施行10周年を記念して制定された「いわき市民憲章」について振り返っています。

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いわき市民憲章

 日本一広い面積をもち、気候が温暖で、豊かな自然といで湯にめぐまれたいわき市は、首都圏にも近く、国際港をもつ近代都市として、躍進をつづける、若さにあふれたまちであります。
 わたくしたちは、貴重な先人の遺産を受けつぎ、いわき市民としての自覚と誇りをもって、調和のとれたまちをつくるため、ここに市民憲章を定めます。

 わたくしたちいわき市民は
 一、元気で働き、豊かなまちをつくりましょう。
 一、互いに助け合い、明るいまちをつくりましょう。
 一、きまりを守り、住みよいまちをつくりましょう。
 一、教養を高め、文化のまちをつくりましょう。
 一、自然を愛し、緑のまちをつくりましょう。

 昭和51年10月1日制定
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 いわき市民憲章の内容は、私たちの市民生活の道しるべとなるもの(市民像)と、町あるいは郷土づくりの目標的なもの(都市像)とを合わせたもので、前文と5か条の本文で構成されています。
 前文は、都市の特徴と理想像をえがいていて、次の項目を考えながらまとめられました。(1)日本一の広域市である (2)気候が温暖である (3)豊かな自然に恵まれている (4)首都圏に近い (5)国際港を持つ近代都市である (6)若さにあふれたまちである (7)先人の遺産を大切に (8)いわき市民である自覚と誇りを持つ (9)調和のとれたまちづくり、の9項目です。
 本文は、特に表現の面で細かな配慮があります。(1)わかりやすく簡潔で、子どもでも理解できるように (2)格調を失わないように (3)結びに「しましょう」を用い唱和しやすいように (4)各項目に順位や軽重はなく「一、(ひとつ)○○○…」のかたちに、などです。

市制施行10周年記念式典・昭和41年10月1日生まれの児童26名によるいわき市民憲章の発表 完成した市民憲章が発表されたのは、昭和51年10月1日に平市民会館で開催した「市制施行10周年記念式典」の席上でした。式典は、関係者と市民約1,800名が参加し、平おかあさんコーラスによる「大いなるいわき」の合唱で幕を開けました。市歌斉唱、市長式辞などに続いて、市民憲章の発表はメインイベントでした。
 ステージには、いわき市と同じ誕生日である昭和41年10月1日生まれの子どもたち26名が登場し、代表の児童が市民憲章前文を暗唱すると、全員で本文を唱和しました。当時の担当職員によると、参加した子どもたちは市内各地の小学校に通う該当者全員で、保護者の協力などがあり、練習を経て当日参加してくれたそうです。式典も平日開催だったため、参加にあたってはいろいろな調整が必要だっただろうなぁと想像しますが、10歳の誕生日の良い思い出になっていてくれたら、とてもうれしいです。

市民憲章推進協議会設立総会(昭和52年10月、いわき市撮影) 市民憲章の制定から約1年後の昭和52年10月13日、田畑金光市長を会長とする「いわき市民憲章推進協議会」が発足します。これは、市民憲章の主旨について市民の理解を深めるために、関係団体や機関の協力を得ながら普及啓発活動を行うことを目的とした会でした。
 この会の発足から、市内各地区で「明るく住みよい豊かなまち」づくりの実践活動が始まっていきます。

 


 

市磐城(現市小名浜)支所庁舎・市民憲章碑除幕式(昭和53年8月、いわき市撮影) 間もなく各支所単位では、地区推進協議会が設立されて、市内公共施設の憲章板の設置が進みました。
 その結果、市役所本庁舎や各支所に設置された石碑や金属製など大型なものは市内22か所、小中学校や公民館などの公共施設にプラスチック製で掲示されているものは約220か所にまで増えました。

 

 

 

 

市遠野支所庁舎・市民憲章碑落成式(昭和53年6月、いわき市撮影) 憲章の各項目を具体的な行動へつなげようとする運動も盛んになりました。
 昭和53年度に推進された運動では、「元気で働き…」の項目は「家庭や隣組ぐるみでの健康管理」に、「きまりを守り…」の項目は「約束時刻の順守」に、「自然を愛し…」の項目は「公共施設の花木の手入れ」など、それぞれ具体的な実践内容へ落とし込まれました。現在も実施されている、地区単位の清掃活動や花いっぱい運動には、この流れをくむものが多くあります。
 また、会合などの席では、積極的に市民憲章を唱和することも実践されました。現在では当時ほど多く見られなくなりましたが、成人式では、今年も全地区の会場で新成人が唱和を行いました。

 

05憲章表示板左上の「日本一広い…」の現状を説明するステッカー このような活動を続けてきた「いわき市民憲章推進協議会」ですが、平成12年に、活動内容に重なる部分が多かった「いわき市新生活運動推進連絡協議会」と合併することとなります。平成15年には「いわき市新生活運動推進連絡協議会」の名称が、「いわき市住みよいまちづくり推進連絡協議会」へ変更となり、さらに時代を経て平成26年3月に解散となりましたので、現在は市民憲章の実践推進を目的とする団体はありません。

 また、前文の「日本一広い面積をもち…」という内容は、平成15年4月に静岡県静岡市と清水市の合併で新しい「静岡市」が誕生すると、それまで1位だった市域面積は2位となりました。
 平成14年9月定例市議会で、市民憲章の日本一の部分の変更について質問があった際、市は、「制定当時のいわき市の歴史を示すもので……当面、変更は行わない」という考えを示しました。現在も、憲章そのものの変更はせず、現状を説明するステッカー「静岡県静岡市と清水市の合併により『静岡市』が誕生したことに伴い、平成15年4月1日から本市は『日本一広い市』ではなくなりました」を掲示することで対応しています。

 

 市民憲章の誕生とこれまでを振り返った内容、いかがだったでしょうか?
 市民憲章は、まちづくり条例などとは異なり、その内容に法的拘束力はなく、道徳的な事柄がわかりやすい言葉で書かれているに過ぎませんが、だからこそ、市民憲章にあるような望ましいまちというのは、私たち自身の内発的な行動で築き上げるものなのだと、教えられるのかもしれません。
 制定から今年で40年を迎える市民憲章、制定当時に思いをはせながら唱えたくなります。

 市発行のガイドブック「いわき市民憲章 昭和51年10月1日制定」では、市民憲章の内容や制定過程をくわしく知ることができます。e-Booksで公開中ですので、ご興味のある方は、「ふくしまどこでもe-Books」(外部リンク)からご覧ください。
 

 〔担当〕市制施行50周年記念誌プロジェクト

このページに関するお問い合わせ先

総合政策部 広報広聴課

電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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