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『田人支所周辺』(平成26年12月10日市公式Facebook投稿)

登録日:2014年12月10日

【いわきの『今むがし』 Vol.12】

【田人村旅人の田人村役場周辺〔昭和24年(1959年)頃 板津弥吉氏所蔵〕】

昭和24年頃の田人村役場周辺

 田人地区は市南西部に位置し、区域の大半は山に囲まれています。明治22年(1889年)4月、黒田村(くろだ)、旅人村(たびうと)、南大平村(みなみおおだいら)が合併して誕生しました。村名は合併対象で人口の多かった黒田と旅人の一字ずつを取ったものでした。
 昭和16年(1941年)4月には、荷路夫村(にちぶ)、貝泊村(かいどまり)、石住村(いしずみ)が加わって、新生・田人村が誕生しました。
 村内では古くから林業が盛んで、木炭生産も盛んに行われていました。明治時代末期以降は、石炭産業とこんにゃく栽培が加わり、地区内産業は活発化していきました。
 写真は、田人地区においてさまざまな産業が活発に展開されていた時代のものです。撮影の対象となった場所は写真2.、3.の左側になります。
 茅葺き農家が点在していますが、このなかで目を凝らすと、写真中央からやや右手奥に農家らしくない建物がわかりますか。これが、改築の完成を間近に控えた田人村役場の建物です。
この写真の手前右下方には、後に「市暮らしの伝承郷」に移築された「芳賀家」の農家も見えます。
 建築時期は江戸時代後期で木造寄せ棟造り、平屋、茅葺きの造り。「代々、庄屋を務めた家で、材料にはとても太い立派な木材を使用しており、上層農家の風格がうかがえます」と紹介されています。
 平成9年(1997年)5月には、市有形文化財に指定され、市暮らしの伝承郷に所在する農家群のうち、施設に入って一番奥に見ることができます。

【田人町旅人の市田人支所周辺〔平成8年(1996年)1月、いわき市撮影〕】

平成8年の田人支所周辺

 時代を経て、古い写真に見えていた茅葺き屋根は姿を消しましたが、山裾にそって続く家並みは、昔と同じです。建築当時、異彩を放っていた村役場は、次代を経て、老朽化が進み、周囲の改築された家々に紛れ込んでわからないほどになっています。
 田人地区の産業形態も昭和30年代から昭和50年代にかけて大きく変容しました。
 昭和30年代までは、大字黒田や大字旅人では品川白煉瓦株式会社黒田炭鉱や三和炭鉱の中規模炭鉱や小・零細炭鉱が稼働していましたが、石炭から石油へのエネルギー革命により、すべて姿を消しました。
 林業や特産のこんにゃく栽培も、安価な輸入品に圧されて衰退の一途をたどりました。酪農も経営環境が厳しくなりました。
 その一方で、社会資本の整備により、道路舗装・改良が進み、短時間でふもとの企業や学校などへ通勤できるようになりました。河川改修や簡易水道の整備により、安全・安心が得られるようになりました。
 写真を見ても、さまざまな点で変化していることがわかります。
 手前の荷路夫川では河川改修が行われ、堤防が築かれました。田んぼは入り組んでいましたが、土地改良事業が施工されて、碁盤の目状に変わっています。
 麓の田人町旅人字井戸沢(いとざわ)と結ぶ主要地方道勿来-浅川線も改良事業が行われました。途中の道路は道幅が細く、山間を縫うように、途中には車2 台がすれ違うことの困難な個所もあったのですが、順次改良が加えられ、現在はスムーズに往来することができるようになりました。写真に見える田人支所付近では、手前の山裾に沿って写真の右(枠外)を、田の広がる平地を避けるように細い道路が迂回していたのですが、写真の右側には道幅を十分に確保したまっすぐな道路へ引き直された様子が見えます。

【田人ふれあい館を中心として開催された「たびとほっこり祭」〔平成26年(2014年)11月、いわき市撮影〕】

現在の田人支所周辺

 田人地区住民は平成2年(1990年)、青年組織を中心として、田人地区における将来の指針をまとめ、地域おこしの原点となる「田人交流の里構想」を策定しました。
 このなかでは、田人の特性を活かしながら田人地区内相互や都市住民とのふれあいを深めることなどを目標として掲げ、東京都台東区の住民と交流を図るなどの活動を展開しました。その後、構想には新たに世代間交流の観点も加えられ、地区住民の間には、高齢者健康センターの建設機運が高まっていきました。さらに、平成9年(1997年)には老朽化していた、支所庁舎や田人公民館、田人診療所の改築が課題として挙げられ、これら施設を1か所に集約した地域総合施設を盛り込んだ構想へ発展していきました。
 田人地区民の活動は、構想の実現に向け、その後も継続されましたが、建設地についてはさまざまな案が浮かびました。田人の場合、黒田字別当(べっとう)付近は商業の中心、旅人字平石付近は市支所庁舎、郵便局、農協などの公共施設が配置されていた経緯もあり、最終的に建設地は市支所庁舎の南方500メートル、主要地方道勿来-浅川線沿いの旅人字下平石地内(しもひらいし)と決まりました。
 敷地内には、これまでの施設機能に加え、屋内運動場や入浴施設なども付加され、市地域交流センター「田人ふれあい館」・市田人支所、市国民健康保険田人診療所が1か所に集約された施設として、平成16年(2004年)11月に落成を迎えました。
 建物には地域特色を活かして、木をふんだんに取り入れたほか、木質ペレットのストーブや太陽光による発電施設などを備え、環境にも配慮しました。
 新しい写真では、田人町の交流拠点ができて、大きく変わったことがわかります。ここを拠点として地区民の交流は深まり、つながりの輪が広がっていく様子がうかがえます。

このページに関するお問い合わせ先

総合政策部 広報広聴課

電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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