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『内郷綴町と国道6号』(平成27年7月8日市公式Facebook投稿)

登録日:2015年7月8日

【いわきの『今むがし』 Vol.26】

【内郷村大字綴から平方向を見る 〔昭和15年(1940)頃 磐城国道事務所提供〕】

昭和15年頃の内郷綴町と国道6号

 綴(現内郷)駅を出て、駅前通りを行くと、国道に出ます。昔の浜街道です。一般的に鉄道駅ができると、駅前には駅に関わる仕事、あるいは関連した業種の店ができて、いわゆる駅前集落が成立します。
 江戸時代までは、一般的な事象として、街道沿いには宿駅、あるいはそれに準じた「間(あい)の宿」と呼ばれる集落以外はほとんど家がありませんでした。ここ内郷地区でいうと、南から街道をたどれば湯本の次が御厩です。綴には農家が点在するだけでした。
 ところが、明治30年(1897年)2月に内郷村大字綴に綴駅が開設され、駅から炭鉱に向かって相次いで石炭運搬用の専用鉄道が敷設されると、中継地となる駅周辺には集落ができあがります。石炭産業が盛んな地域だけに、他の一般的な駅前集落とは異なり、商店街や住宅ができていきます。また、警察派出所や消防団詰所、家政学校(後の内郷高校)などが設立され、さらには内郷村役場が御厩から綴に移転し、次第に村の中心としての機能が形成されていきます。
 さて写真に見える国道。昭和時代に入ると、国道6号の整備が始まり、夏井川に架かる平神橋や鮫川に架かる鮫川橋において木橋からコンクリート橋への転換に続いて、湯本-平の道路拡幅工事が始まり、内郷地区の国道も昭和15年(1940年)頃、未舗装ではあったものの完成しました。
 写真は、拡幅工事終了後のものです。左の建物は警防団自動車ポンプ置場で、かつては消防団の名称でしたが、戦時色が濃くなるなか、昭和14年(1939年)に防護団と統合され、警防団に改称されました。隣には火の見やぐらが見えます。(別添の写真集はこの上から平方向を見下ろしたものです。この火の見やぐらにのぼって平方向を見ると、道路の両脇には水田が広がっていることがわかります)
 遠方写真右側に見える山の稜線は、現在の市立磐城総合病院の北側に広がる丘陵です。
 写真に見えるのは自転車や荷車。自動車の少なかった時代、道路が広く見えるのは、そのせいでしょうか。

【内郷綴町を通る国道の今 〔平成27年(2015)6月 いわき市撮影〕】

平成27年6月の内郷綴町と国道6号

 今の写真は内郷綴町の内郷支所(写真向かって左側)付近です。
 古い写真から70年余の歳月が流れ、社会も時代も大きく変わりました。古い写真と今を比較できるのは、かつて見えていた山ですが、それも大半が建物に隠れてしまい、今ではほんのわずかに顔をのぞかせているだけです。
 …肝心なことが抜けていました。道路が当時とはそんなに変わっていないですよね。平‐湯本は市内でも最も交通量の多い区間だけに、つい狭くなった印象さえ覚えてしまいそうです。
 古い写真にあった昭和15年(1940年)当時の内郷村は、昭和17年(1942年)8月には内郷町へ町制施行し、さらに昭和29年(1954年)には市制施行して内郷市へ発展しました。特筆すべきは全国の多くの都市とは異なり、この間、周辺町村と一度も合併をしていないことです。(昭和30年2月に箕輪村大字高野を合併)
 炭鉱の繁栄に支えられて人口が増えた内郷地区。昭和40年代に入るのと時を同じくして炭鉱は姿を消しましたが、炭鉱地帯の疲弊とは対照的に、中央部では住宅団地が造成され、また交通の要所として事業所や住宅が進出しました。土地区画整理事業が進んだこともあって、国道6号沿いに広がっていた田畑は、建物ですべて埋め尽くされました。
 古い写真と、あらためて比較してみる、今の写真。全国至るところで起こった変容でしょうが、古い写真のどこがどう変わったについては、一人ひとりの感覚が異なるように見方も異なります。確かに古い写真は昔を映し出していますが、今を生きる私たちに写し出されたすべてを見通すことができるでしょうか。おそらくは写真を見てわかったつもりでも、当時の人々の思いにまで到達することは難しいかもしれません。しかし、こうして比較することによって、記憶が刺激され、眠っていた何かが呼び起こされることがあるかもしれません。たとえば、祖父母や近所の人が折に触れ言っていたようなことが…。

その他の写真

【綴町の火の見やぐらから湯本方向を見る(道路整備前)(昭和15年・磐城国道事務所提供)】

昭和15年頃の内郷綴町と国道6号

【綴町の火の見やぐらから湯本方向を見る(道路整備後)(昭和15年・磐城国道事務所提供)】

昭和15年頃の内郷綴町と国道6号

【綴町の火の見やぐらから平方向を見る(昭和15年・磐城国道事務所提供)】

昭和15年頃の内郷綴町と国道6号

【道路整備中の国道を綴町から平方向に向って見る(昭和15年・磐城国道事務所提供)】

昭和15年頃の内郷綴町と国道6号(整備中)

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総合政策部 広報広聴課

電話番号: 0246-22-7402 ファクス: 0246-22-7469

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