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『レンガ通り』(平成28年1月27日市公式Facebook投稿)

登録日:2016年1月27日

いわきの『今むがし』 Vol.39

平本町通りから西村横丁(現・レンガ通り)入口を見る

昭和53年と平成28年のレンガ通り

  平の市街地改造は、いかに城下町時代の道路を拡幅するか、という点が重要な課題となりました。特に、常磐線平駅が開業してからは、すでに道路としてあった、現在の並木通りと本町通りをつなぐ南北の道路開削は容易ではありませんでした。今でこそ、一体化した市街ですが、江戸時代には、田町と本町通りの間には堀があり、商人屋敷と武家屋敷に峻別されていたからです。つまり当時はこれをつなぐのは、最低限の通路機能で十分だったのです。
 明治時代に入り、道路整備が行われ、かつての通路を拡幅して田町には銀座通り、白銀町には中央通りができ、さらに戦災復興を機に駅前通りができて、交通機能の円滑化を果たせたかにみえたのですが、石炭産業が栄え、自動車交通が増加するようになると、平市街北部との往来をさばく必要に迫られていきます。開かずの踏切といわれた常磐線の掻槌小路踏切が、昭和39(1964)年に平立体橋が完成して、交通混雑が解消されたものの、今度は国道6号や平市街南域を抜けるには、平駅前通りに向かうしかなく、またも、立体橋下を中心に交通の混雑が激しくなっていきました。
 立体橋下から南北に通じていたのは、通称・西村横丁と呼ばれた路地でした。この道路拡張が次の課題となりました。
 平市はまず、昭和36(1961)年に都市計画道路三崎-下平窪線として計画決定し、本町通りまでの169.5m区間について幅員7~2.5mを16m(車道9m、歩道両側それぞれ3.5m)へ拡幅し、終了後、さらに谷口通りを同じく拡張して国道6号へ到達する計画を立て、昭和41(1966)年に誕生したいわき市に引き継ぎました。
 調査設計費は昭和42(1967)年度から2か年で計上され、実施測量を経て、昭和49(1964)年度から用地交渉に入りましたが、この間、土地区画整理事業による田町全体の都市改造案や歩道部分が広過ぎるという反対などの調整に手間取って、拡幅工事に着手できたのは、昭和50(1975)年になってからでした。
 

西村横丁(現・レンガ通り)から南方を見る)

昭和54年と平成28年のレンガ通り

 西村横丁の北東側には、拡幅前にクスノキ3本が大きく枝葉を伸ばしていました。明治33(1900)年9月に平町庁舎が建てられた記念に植栽されたもので、平町は庁舎移転のため、昭和6(1931)年11月にこの地を売却(財政難のため移転できず、仮庁舎として斜め前の平商業学校の旧校舎〔現コンビニ敷地〕を改修して終戦間際まで活用)。清水医院がこの敷地を買い取って医院を移設しましたが、クスノキは残されました。
 清水医院は、西村横丁の拡幅が計画されたのを機に、昭和43(1968)年に移転。このときもクスノキは残されましたが、拡幅工事が進んだ昭和53年(1978)年6月、高さ15m弱、幹の直径40~65cmにまで育ったクスノキは惜しまれながら、平中央公園(2本)と福島工業高等専門学校(1本)に移設されました。
 老舗・西村屋薬局の“去就”も問題となりました。創業は江戸時代初期、建物は明治3(1870)年の大火後に建てられた「店蔵造り」で、焼失を防ぐため当時としては建築技術の粋を尽くして建てられた商家でした。関係者は保存の可能性を探りましたが、結局は断念せざるを得ませんでした。
 こうした紆余曲折を経て、新しい通りは昭和56(1981)年4月に開通式を迎え、「レンガ通り」として生まれ変わりました。道路の両側にはイチョウの木が植栽されました。
 しかし、イチョウも受難の時期を迎えます。平成11(1999)年1~12月、電線類を地下に埋設する電線類地中(キャブ)化工事が行われた際には、イチョウを伐採しなければなりませんでした。この工事によって、街から煩雑な電線類が消え、災害時におけるライフラインの切断を防ぐだけでなく、快適な景観を得ることができるだけに、やむを得ないこととして、関係者は同年3月に伐採式を催して思い出のイチョウと別れを告げました。通りに植栽されていた29本のうち6本は移植が可能として、21世紀の森公園に移植されました。
 電線類地中化工事に併せて、街路灯やベンチを設置し、平成12(2000)年3月には完成記念イベントを行いました。
 市内の各所にある街路樹。その一つひとつが歴史の綾に彩られています。

その他の写真

西村横丁(現・レンガ通り)を平立体橋から見る

昭和50年と平成28年のレンガ通り

西村屋薬舗・平町字二丁目(本町通り沿い)

大正14年と昭和50年代初期の風景

レンガ通りになるまでの移り変わり

レンガ通りになるまでの移り変わり

レンガ通りの賑わい

レンガ通りの賑わい

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